日記 (5/20) (篠澤広・答え合わせ編完全版)

ikabomb
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公開:2024/5/20

いまさっき (現在時刻: 0632) 、篠澤広の評価点A+を達成して10話を解放し、これを読んだ。これにより、今現在私が課金に頼らず得られる篠澤の情報は98%ぐらい読んだことになる。特に重要度が高いであろう親愛度シナリオおよび育成シナリオは全部読んだため、ここでもう一度解釈を見直してみても良いと思う。

結論から言えば、私が5/8に書いた解釈はびっくりするほど当たっていた。というか共感ベースで理解できすぎて私が篠澤広だった。流石に篠澤ほどの身体の虚弱さは無いが、精神面はかなりシンクロを感じる。

なお、ここに書くものは、都合ネタバレを多分に含む。というか5/8に書いた記事が事実上ネタバレである。リリース前にネタバレ記事を書いてしまったことになるが、私がエスパーだったということで。

一つ予想外だったことがあるとすれば、篠澤に対するPの言動がめちゃくちゃ辛辣だったことだ。日和らずにそこまでやるんだ、という印象を受けた。非常に良いと思う。

辛辣であるがゆえに篠澤はドMだという誤解を生んでしまったようだが、そうではないことは8日の記事にも示した通りだ。篠澤が持っているのはマゾヒスト根性ではなく、フロンティア精神である。無意味な苦痛は (描写が無いので共感ベース推測になるが) たぶんそんな好きではない。

逆に、有意味な苦痛に対しては躊躇が無い。コンテストめいたもので敗退し、アイドルとしての能力についてPに「論外です」という言葉をぶつけられても、しかしそれはまだまだ全然アイドルの道に上があることを示しているので嬉しくなっていく。翻って、褒められるともう道が続いていないかのような錯覚を得てテンションが下がる。課題の山積する様子が見えていれば、うれしいのだ。

8日に私は、篠澤は「自らの世界を押し広げて新たな地形の光景を眼に捉えようと」している、と書いた。これは共感ベース言説だが、自らの能力の果ての線をぐいぐいと、死力を尽くして断続的に押し上げること、これはめちゃくちゃ楽しい。楽しすぎて私はそういう体験ができるゲームこと Europa Universalis IV をもう2790.5時間ほどプレイしているらしい。あとスプラで銀モデラーとエクス/エクカスしか担げないとか、普通に理系やってるのにナショナリズムのことを理解したくて歴史系の厚ぼったい本を読みまくっているとかもあるが、まあ私の話は置いておこう。

して、一筋縄で行ってしまう分野では当然、このような体験は味わえない。「簡単で退屈すぎる日々を厭」うことがあるとすれば、そういう文脈だ。

そういえばストーリー中では「将棋の駒、サンドイッチ、バドミントンのシャトル、刷毛、香水瓶、何らかの花、イーゼル、スタバっぽい容器」みたいなものによって代表されるところの、彼女の世界の雑多さはあんまり見られなかった。この要素の羅列は『光景』のMVからだし、これと共感ベース推測から彼女はほぼ間違いなく Lv 5 バッジコレクターだろうと言ったが、よくよく考えると彼女の私生活への言及はほぼ無い。別の SR で私室がちょっと出たぐらいだ。勉強机と床にぐちゃぐちゃに物が置かれているらしい。勉強机って物でいっぱいになるよね、わかるよ (積読100冊以上で埋まった私の勉強机を見ながら) 。この辺は今後のストーリー展開でちょっとずつ知られていくことだろう。

アイドル業への熱意については、私は以下のように述べた。

アイドル業が輝いて見える理由は、少なくとも、それが困難だから、という部分があるには違いない。ほかに何か彼女を惹きつける理由があるのかもしれないが (思考回路を共有しないひと向けにたぶんなんかある) 、とりあえずはそうやって未知の宇宙を示唆するものであるから熱を持つ、そういうことだと思う。

留保はあるものの、アイドル業は彼女にとって予想以上に困難な分野だった――なにせ準備運動で疲労困憊するほどの虚弱さだったのだから! まあ身体的条件のことは置いておくとしても、表現能力とか歌唱力とかにもディスアドがある、と本人が言っていた (10話) 。しかも安定なんてものはない、とのこと。私が研究職を志している理由を10倍強くした感じだ。私は流石にそこまで派手に人生でギャンブルするほどの強心臓ではないが、篠澤はそうらしい。羨ましい。天才と凡夫の差というものはこういうところにある。

で、一応の留保もある。「ほかに何か彼女を惹きつける理由があるのかもしれないが」。これは、実を言えばほとんど無かった。10話で一応出たが、10話でしか出さないあたり、少なくとも彼女は公式には第一の理由とはぜんぜんしていない、どころか「ただ困難を得たくて安定のない大渦で波乗りしたいだけならアイドル業じゃなくてもいいよね」みたいにPに詰められてはじめて「かわいくなりたかったから。」と吐いた。

まあ隠し通していた第一の本心とみなすこともできる……が、個人的には「困難を得たい」ということのほうが大きくて、決め手として「かわいく」が出てきたんじゃないかと思う。私だって研究職は「知性至上主義的にかっこいいから」ぐらいの気持ちで目線を向けている節があるが、知性至上主義において常に研究職が選ばれる必要はない (どっかのライターとかもあるだろう) 。同様に、かわいくなりたいと思うときに常にアイドル業が選ばれる必要も無い。強く関連はすれども、困難へ向かいたいという理由がなければ彼女にとりアイドル業が選ばれることはあまりないのではないかと思う。

最後にPドルについて。篠澤……いい人見つけてくれよ……。以上です。

流石に短すぎるので補足すると、まず、私は恋愛のことを実存的には理解できていない。形式的になら理解できている、つもりだ。で、篠澤に対して私はあんまりにも共感ができるので、篠澤から私の情報理解ではなく逆向きの流れを適用してみると、篠澤もまた実存的には恋愛のことを理解できていないんじゃないか? という疑問が出てくる。すなわち、「この形式なら恋愛だ」というものをたくさん積み重ねたゆえに「恋愛ならこう振る舞うのがふつうだ」的反応を返しているのであって (それが「愛の告白みたい」だとか「デート」だとかの反応につながっているのではないか? という疑いがある) 、彼女自身の中に生起するものとしての恋愛感情は本当に持っているのか? というところを疑っている。持っているならそれでいいと思うが (やっと私と違うところを発見できた! となれる) 。何にせよ、篠澤を心底理解してくれるひとがいればそれは幸いなことだと思う (たぶんそれは篠澤Pのことだけれども) 。

総括すると、やはり篠澤広というキャラクターは本当に私にそっくりだと思える。針の穴に駱駝を通すような試みこそがこの世でいちばん楽しいことなのだから、私はそうしているし、篠澤もそうしている。成功したときにはぶち上がるし、四苦八苦することもまた楽しいからだ。ひたすら前へ、上へ進んでいくことだけが楽しいからだ。そして、その進むことへの実感が無ければつまらない。その実感とはつまり難しさであって、従って「苦難こそ喜び」なのだ。

@ikabomb
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