「5000兆円欲しい」は何度でも口に出して言いたい言葉だが、それと同じくらい何度も声に出して感謝したい話として、今の会社のQAエンジニアの仮称 Tさんが言ってくれたことが、私のエンジニアの礎になっていることを言いたい。
今の会社は私が未経験エンジニアとして入社した会社で、私はアプリケーションエンジニアとしてTさんに出会った。
「ikuma さんも QA なんですよ」
チームに配属されてからまもなく、Tさんから品質についての説明会があった。説明会といっても、中途半端な時期に入社したので、1on1だったけれども。
そこで言われたのが「QA=テスト、テストをする人ではないです。QAとは品質保証における全ての活動です。」ということだった。少し記憶が曖昧だけれど、たしか「なので ikuma さんもアプリケーションエンジニアであり、QAなんですよ」とも言っていたと思う。
当時は右も左もわからない駆け出しエンジニアだったので、正直「シフトレフト」と言われても微妙にピンときていなかったが、単語自体を覚えたのはここだと思う。
諸々説明を受けたあと、「わざわざ時間を取ってこんなペーペーに説明しくれるなんて」という気持ちになり、自分の中でできるところから始めてみようと思った。
鳥類は生まれて始めて見たものについていく「すりこみ」の習性があるが、人類、こと私はこのTさんの考えのすりこみを受けたわけである。
QA をじぶんの庭にする
自分がずっと好きな考え方に「自分の庭を作る」がある。
庭は、どこに何があるか分かっていて、地図を見なくても安心して歩いていって活動できる場所。そういう、守備範囲というか、足場がチーム開発においてもあるとよい。
エンジニアにとっての強みが何もなかった自分にとって、「QA」が庭だった。
まずはテスト観点を誰よりも上手に書いてみる!!
テスト観点を書くにしても、タスクの内容が薄いと振る舞いがよくわからないな。タスク自体の書き方も勉強してみるか〜。
E2Eテストのメンテナンス、今Tさんがやっているけど、自分もQAなんだからメンテの仕方とか、アプリケーションエンジニア視点で高速化とか考えてみるか!
...etc
QA に限らずではあるが、新しい視点が増えるのはとても楽しい。今まで自分と関わりのなかった部分が、その視点を起点に光り輝いて見える。
自分は QA を庭にしようと思ったことで、「テスト」「タスク管理」「ブラウザ自動化」「DevOps」「アジャイルプラクティス」...などなど様々な分野に興味が広がった。
全部、T さんが居たからじゃないか
目標設定でなんかしらチームの改善しないといけないけど、何をしたらいいかわからなくて、QA 視点で考えていったらやることが見つかった。これも Tさんのおかげ。
エンジニアになったばかりの年、何も経験値がなかったけれど、興味を持ったブラウザ自動化を調べていくうちに Kaigi on Rails に登壇できた。これも Tさんのおかげ。
今もまたチームのプロセス改善的なところに手を出しているけれど、それが上手くいっているのもコミュニケーションを密にとってくれる Tさんのおかげ。
最初に受けたすりこみをずっと覚えているし、そのおかげで色々成長できました...という話を当人にも 2 回くらいしているんですが、ずっと感謝しているので文章でも認めてみました。
P.S.
偶然イニシャルが同じですが、月島さんではないです。