学生団体の開発チームは常に不完全でいい

imaimai17468
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公開:2023/11/18
  • ここで言うチームは、ひとつのプロダクトを1年以上掛けて開発・保守運用する長期的なチームのこと

    前書き

近年、学生エンジニアのレベルは上がり続け、もはやハッカソンの入賞作品は世に出せるレベルだ。

最近、その煌びやかさと人の強さの光に当てられて、劣等感から苦しんでいる学生をよく目にする。そういった人たちに、もっと肩の力を抜いて、入賞だけがプラスを産むものでは無いと言いたい。

本質は、そのプロダクトの維持で、入賞はそれの先駆けだ。

僕の所属してるNUTMEGは、学園祭に関わるプロダクトを毎年5〜7個くらい運用してる。そのうち3つは2年以上続いてるプロダクトだ。

なんで給料もなしに、崩壊せずこの量のプロダクトが回っているんだろうと思ったので、考えてみた。

心地いい不完全さ

なぜ回ってるのかと言うと、チームの不完全さを心地よく保っているからだと思う。

完全とはなんだろうか。完全とは全員が開発フローや技術を熟知し、運用に無駄がないチームだと思う。企業は完全なチームを目指している。

ぼくら学生のチームもそうありたいが、その完全さはあくまで憧れであって、到達できる領域じゃない。

学生のチームが到達すべき点は人が動けるチームだ。人と人に生じるコミュニケーションの強度が高いチームだ。

なぜ完全に到達できないか

学生というのは初心者から上級者までまばらで、それこそ入学生の大半は初心者だ。

まばらにメンバーでチームを作れば、まず完全にはなれない。年が経るごとにチーム全体のレベルは上がるが、いずれ人は卒業するので、毎年全体的なレベルはリセットされる。

仮に最終学年の強いひとだけでチームを作ろう。完全なチームに見えるが、それはその時だけで、来年には卒業してしまう。

次の年はそのコードを読める人がいるだろうか?仮に後輩を入れても、強いひとばかりがタスクを回収してしまえば、後輩の成長機会は奪われてしまう。

次の年はギリギリ保てても2、3年したら確実に崩壊し、より不完全になってしまう。

最小限の不完全さ

そのために最上級生がチームに対してやることは、技術研鑽や開発ではなくサポートだ。人に教えたり、ドキュメントを残したり、次の年の不完全さを最小限に保つことだ。

チームは相変わらず不完全だが、次の年は今と変わらないぐらいの不完全さを保てる。サポートによっては少しだけ完全に近づく。逆もあるけど。

この最小限の不完全さが、心地いい不完全さだ。

学生団体の開発チームの到達点

さっきも述べたが、学生のチームが到達すべきは人が動けるチームだ。次の年のことを考え、いかに不完全さを無くせるか。

強い人はサポートに徹し、初心者の成長機会を存分に多く保ち続け、初心者は機会を逃さず成長し、チームの横断しながら垣根を超えてコミュニケーションを図ることが重要だ。

NUTMEGの取り組み

NUTMEGがコミュニケーションのために行っている制度を紹介する。団体運営の参考になると幸いです。

  • メンター制度

    入学時に、その子のやりたいことに従って、その分野の先輩が必ず1人つく。技術的にも学校の先輩としても頼りになる人ができる。最初のうちはメンターが仕事を振ることで、やることが無い状況が生まれなくなる。

  • 1on1

    そのプロダクトのマネージャーや先輩と、その後輩が相談したり雑談したりする。そのプロダクトで何をしたいか、どう成長したいかを聞いたり、不安を取り除いてあげたりする。

  • よもやま

    いわゆる不定期雑談会。適当な時間に会って世間話をする。意味が無いように見えて、その人となりや考え方をお互いに知ることができる。

  • たくさんの場所に出かける

    週1で飯とか風呂とか。効果はよもやまと同じ。楽しい思い出を沢山残そう。

  • 最上級生の関わり方

    NUTMEGでは、最上級生は基本的にミーティングにも開発にも参加しない。凝り固まった思想が、新しい世代の考え方を塞いでしまったり、開発することで成長機会を奪う可能性があるからだ。

    そのため、最上級生はレビューや次世代のPMへの引き継ぎを中心に行っている。

学生がその団体にいる理由は、人の繋がりと責任感によるものが大きい。そのふたつを満たす制度を自分の団体に合った形で考えられるといいと思う。

おわりに

もしチーム作りが不安なら、いかに不完全さを一定に保てるかを考えたらいいかもしれない。

もし既にチームを持っていて、あるプロダクトを維持しているなら、不安があってもそれはとても凄いことなので、その不完全さを誇って欲しい。

実力が誇張されやすい学生エンジニアの世界で、周りの強さに怯えている人たちへ。

追記

ちなみに私はハッカソンアンチではなく、むしろ推奨派だ。ハッカソンに出てみたいが気が引ける人に対してアドバイスをしたい。

今は弱いから、強くなった時に出よう、と思う人がいるかもしれないが、その考えはやめたほうが良い。その強さが相対的なものなら、自分が強くなったときなんて来ないからだ。上には上がいるから。

自分の弱さを理解しているうちに、ぜひチャレンジしてみて欲しい。

@imaimai17468
24卒 / フロントエンドエンジニア 好きな技術をもぐもぐしています