組合

imdkm
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ものをかいて多少のお金をいただいているので一応ライターと名乗ってはいるのだが、単に実家にパラサイトしているミドサーのおじさんなのである。そろそろ実家の果樹園を継ぐ準備をしていかないといけないなぁ、などと思いつつ、当面は(いまやってる仕事が落ち着いたら)バイトを探すっきゃぁないなと考えるこのごろ。

ところでピッチフォークがメンズファッション誌GQへ統合されるということでさまざまな意見が飛び交っている。いろいろ思うところはあるが、別にいい読者でもないので、特に書くことはない。ただ、白人男性中心主義のインディロックヘッズ御用達メディアというブランドイメージに対してさまざまなアプローチをとっていた印象はあり、それが成功していたとは思わないが、レイオフされた編集者が皮肉っぽくつぶやいた、「男男した場所ではない方向に持っていこうと時間を費やしてきたけれど結局GQにもっていかれるとは」というのには、たしかに無念さが漂う。

2015年にコンデナストがピッチフォークを買収したときには、メディアの主要な読者と目されるミレニアル世代の男性へのリーチを期待しているとのコメントもあったそうで、なおのことGQへの吸収はコンデナストにとって既定路線だったことがうかがえる。

これを期に「音楽ジャーナリズム」論がぶち挙げられるのはしらじらしく見てしまうのだが、しかし英語圏のライターの反応を見ていると「労働者としてのライター」という意識が明確に感じられるものもあり、それはBandcampがSongtradrへの売却でエディトリアルがレイオフされたときにも同じだった。

「音楽ジャーナリズムや批評はどうあるべきか」ということよりも、自分はそちらの意識のほうが興味深い。労働組合が結成され、雇用主と交渉を行い、情報発信も行う。フリーランスで同業者の知人も多くはない自分にとって、こうした連帯の土壌があるというのがいいなと思う。もしかしたら、本邦のライターのコミュニティのなかでもそうした情報共有があるのかもしれないが……。もっと情報収集をしたほうがいいのか。

今回のGQへの吸収もある種の労組潰しではないかという指摘があったりして、まあ情報をいろいろ集めていかないとわからないのだけれど、特にアメリカを中心にだとは思うが、労働組合結成&労組潰しの過酷ないたちごっこが話題にのぼることが肌感で増えたように思う。日本でもそうしたトピックが聞かれることが着実に増えているものの、フリーランスのライターでそうした動きがあったら知りたいものだ。