お正月休み中に地元（佐賀）でライブに行ってきた。先輩バンド数組による還暦記念ライブが開催された。憧れのS先輩のバンドも出演する。当時は恐れ多くて離れたところから黄色い声援をあげるだけだったが、去年の夏のイベントで久しぶりに再会し、Facebookでつながった。とはいえ、今でも気軽にコメントなんてできない。リプが付いただけで「ひぃ～！！ S先輩からリプが！」と動揺してしまうからだ。
さて、今回は高校時代にやっていたガールズバンド「パウダー」のメンバーも全員集合した。ベースのRちゃんとドラムのMっちはライブ自体ほとんど行かない、なんなら音楽もあまり聴かないらしい。前日、LINEで「みんなわかってくれるかなあ？」と言うRちゃんに、キーボードのE美が「何言ってるの！ パウダーはみんなのアイドルだったんだから、みんな喜ぶよ！」と返信。……なぬ？？ アイドル？？？ 私の頭の中はクエスチョンマークで一杯になった。
あのころ、ガールズバンドが3つくらいあった気がするが、パウダーはとびきり騒がしいバンドで、先輩、同級生、後輩たちによく「うるさいのがいると思ったらやっぱパウダーかっ！ｗ」と言われていた。「アイドル」ではないよなあ～などと思いつつ、当日会場に向かった。
客席で開演を待っていると、S先輩のバンドのベーシストT先輩が席まで来て「えー！ パウダー全員そろってる！ 今日は来てくれてありがとう。あとでみんなで写真撮ろうね」と声をかけてくれた。E美は「ほら！ 覚えてくれてるやん！ パウダーは結構有名なんだよ！」と得意げだ。しかし、私はそれでも半信半疑だった。T先輩はわりと仲良しの先輩だったから覚えてくれていたのでは？
今回のライブでは、ライブハウスのオーナーであり地元でミュージシャンとして活躍中の木原慶吾さんも自身のバンド、スピリッツで華を添えてくれた。木原さんが還暦バンドメンバーたちとの出会いや思い出を語る中で、「今日はね、パウダーのメンバーも全員来てくれてるんだよね」と紹介してくれた。E美は「ほらー！ 言うたやん」と得意げなのだが、私もRちゃんもMっちも「へ？？」と狐につままれたような顔になった。そして、一緒に来ていた夫はもっと「解せぬ！」という顔になっていた。騒がしいガールズバンドは、私たちが考えている以上にたくさんの人の記憶に引っかかっていたらしい。
帰り際、Rちゃんが「こうやってライブ見ると、ああ～楽しそうだなあ。私もやれたらいいなあって思うんだけど、いまさら無理だよ」とつぶやいた。それを聞きつけた夫が「無理なことなんて絶対にないよっ！」と大きめの声でリアクションしてRちゃんをビックリさせていた。彼女たちが再結成に消極的なのはわかっている。それでも、ちょっとだけ期待を込めて「ライブやるとかじゃなくてさ、音出したいなって思ったら連絡して。いつでもギター弾くからさ」と言って別れた。
ところで、今年も12月に夫の軽音サークルOBイベントに出演する予定なのだが、前回より大幅に増えて6曲やる予定だという。行方がわからなかったボーカルが隣の市に住んでいることが判明し、私たちはギターに専念できるらしい。もちろん、今回も私のレパートリーとはかすりもしないセトリになる。