虐殺がかなしいことだ、というのは多くの人が理解できることだろう。
でも、リョナって最高だ!というのはたぶんマジョリティではないんじゃないかな、と思う。たぶん。
とある作家さん(わたしもその方のイラストが好きでよく見ていた)が、キャラクターにスイカを添えて二次創作のイラストを描いている。まどろっこしい言い方をせずに表現すれば、パレスチナ問題について危機感を抱いていて、そのキャラクターにスイカを添えてタグをつけて投稿することで多くの人の目に留めてもらいたい、という意図を持たれている。
今日、それをたまたま目にしてびっくりしてしまった。だって、二次創作だよ?著作権も著作者人格権も別のところにある。そんな政治的な主張を二次創作ですべきじゃない。直感的には、わたしはそう思った。
でも作家さんが言うにはこうだった。「わたしはこの問題を悲しいと感じていて、わたしにできることをやりたい。○○(キャラ)くんはわたしにとってのヒーローで、だから彼にヒーローになってほしい」意訳。
二次創作というのは公式からお目溢しをいただいてやっていけているもの。だから、厳密に言えばリョナだって全年齢の漫画だって著作権には触れている。わたしにリョナの性癖はないので見かけてもスルーするけれど。
じゃあ、「リョナって最高!」の主張をキャラを使って二次創作で表現するのと、「虐殺はいやだ」の主張を二次創作ですること、何が違うんだろうな……と、ふと思ったのだった。なんで私は、私を含めて一定の人たちは、彼女の行いを嫌だと思っているんだろう?公式に迷惑がかかるから?でも、それってリョナも同じじゃない?そのキャラクターが絶対にやらないようなことをさせて、自分の欲望を満たして、道具にしている点は同じじゃない?などなど……
などとこの日記をつらつら書きながら、いま、ふとピンときた。彼女はキャラクターとスイカを使って、キャラへの愛ではなく、その先を目指して創作しているから嫌なのかも。つまり、そのキャラクターを見てほしいんじゃなくって、その先にある主張を見てほしいのが透けて見える、それが嫌なのかも……な……。目に留めてもらうための商標的な使い方をしているというか…。フリーライドっていうか。
ただ、それを論じたところで、商標的な使い方はNG!でもリョナはいいよ!とはならないでしょ、とは思う。リョナの二次創作だって著作権を侵してんだよ。ってかリョナを例に出してるけど別に全く敵視してるわけじゃないです、はい。すみません。
同人界隈って厄介だ。暗黙のルールがいっぱいある……。私たちが築き上げてきた「公式からお目溢しをもらって出来ている同人界隈」を壊すような真似しないで!という嫌がり方はもっともである。でも、「同人界隈が守られれば満足なんですか!?今この瞬間も悲惨な戦争が起こっているのに、あなたたちは自分さえ良ければそれでいいんですか!?」と投げ返されてしまえば、少なくとも私は黙るしかない。
やり方が間違っている、一次創作でやれ、というのも理解はできる。でもたぶん、いまの彼女にとっての最善がこれだったんだろうな。
その作家さんは、フォロワーさんもとても多い方だった。彼女のイラストは武器になる。たくさんの人に見てもらえる。悲しい戦争が起きていて、それを止めたくて、なにか自分にできることはないか考えて。キャラクターを利用しているという自覚はもしかしたら彼女も持っているのかもしれない、それでも天秤にかけてキャラとスイカを描いているというのなら、それは……どうなんだろうな………
まぁ白か黒かつける必要はないんですけれども……
うだうだ…………