小説がうまく書けない。うまく書けないな……と思っていると、本当にうまく書けない。今はインプットの時間なのだと思って、好きな小説や、好きな二次創作を読む。それでもうまく書けないし、うまく書けないことに苛立ちもする。それになんだか、過去に書いた自分の話も面白くない。
私が、うまく書けないな……と思うときは、だいたい「自分の文章がなんか気持ち悪いな」だとか「テンポが悪い」とか、「展開が面白くない」である。前までサラサラかけていた物が、かけなくなる。自分の文章のリズムや言葉選びに違和感を抱く。
そういうことが、結構頻繁にあった。
小説を書く、という行為を始めたのは約二年前で、その頃はただ楽しくて、書けば書くほど考えていることがうまいこと表現できるようになる感覚に溺れていたものだけれど、一年くらいたったときから、こんなふうにうまく書けない……と詰むようになった。
私が意識しているのはインプット。それから、少しでもいいから書き続けること。小説じゃなくてもいい、こういう日記みたいなものや、映画の感想とか。自分の中から生まれる言葉を止めないこと。どうしても何も出てこないときは、好きな小説を写経したりする。
それからもう一つ、大事にしていることがある。
それは、ポジティブなマインドでいる、ということ。
うまく書けないだとか、人の小説がうまく見えて落ち込むだとか。人間だからそりゃあるものだけれど、昔、テニスのコーチに言われた言葉を私はそういうときにこそ思い出している。ぴかぴかひかる言葉だ。
テニスのサーブが、苦手でもあり得意でもあった。入れば素晴らしい球になるのだけれど、入らないこともある、みたいな。
コーチは教えるのがうまくて、私は飲み込みが早いほうだ。だからコーチもたくさんのことを教えてくれる。
でも、だからこそ「いま言われたことを実践しようと思ったら、この前言われたことができなくなる……!」という事態が発生しやすかった。
何もできてる気がしない!むしろ下手になってる気がする!泣き言をわめく私に、コーチは笑って言った。「成長っていうのは上昇と停滞を繰り返すものだから」つまり図に表すとこういうことです。
当たり前だって思うだろうか?言われてみれば当たり前なんだけど………………。
でも停滞しているときって、自分がもう何も出来てない気がするし、今まで出来ていたことすら出来なくなっている気がするじゃない。暗闇の中に迷い込んな、みたいな。
でも大丈夫、今までできていたことはちゃんと身についているし、新しいことを吸収して今は緩やかに停滞しているだけだから、ソレ。心配しなくて大丈夫だから。新しいことを吸収したらまた上昇して、そしてまた新しい壁にぶつかる、そうやって成長する。
創作をしていると、同じように「なんかうまく書けないな〜……」と落ち込む人をよく見かける。私もあるなぁそういうこと……と思う。そのたびに、この言葉を思い出すようにしている。