今から18年くらい前、西陣エリアに住んでいた。友人と一軒家をシェアしていたのだ。まだシェアハウスなんて言葉がなかったか、浸透してない頃。もともと町屋だったその家は部屋を隔てるのは襖だけで、今の感覚じゃ無理かもしれないなあ。彼氏を連れ込んでなくても。
仕事を始めたばかりの頃だったから家賃が安くて助かったし、晩御飯も一緒に囲むことが多くて、ごはんの楽しみも増え、なんだかんだとよく話していた。本も貸しあって感想をあーだこーだと話したり、昔の映画もたくさん観た。白黒の頃のやつ。麩屋町ビデオタウンだったか、あそこで借りてきたやつ。あの時代にずいぶん文化は蓄積された、と思う。フランス語も、人との繋がりも。
その家の向かいには、当時開いてるのかよくわからない鮨屋があり、ほどなくして潰れ、そのあと中華料理の店になった。本当にひっそりした細い路地のお店でよく生き残っていると思う。京都ならではなのかもしれないね。とにかくそこがとても美味しくて、いつもよくしてくれるお姉さまと今回ランチにやってきた。昔ここの向かいに住んでてね、とか言いながら瓶ビールで乾杯。
このお姉さまは、むかしのバイト先の社員さん。そういえばここに住んでいた時にはもう知り合っていたんだったなあ。そう思うと2人でタイムリープしたような気がしてくる。
一緒に住んでいたあの子とあの子は元気にしてるだろうか。もういい大人なのに、付き合いが長いと「あの子」になるんだね。
美味しい中華のあとはちかくのカフェで豆皿展を見て、これ以上細かな器を増やすまいと思ったのにひとつ買った。そのあとは移転が決まっている骨董品屋さんへ。数年前、そこで弥生土器を買ったんです。その話はまたいずれ。
すん、とすました骨董品やさんではなく、饒舌にその物について語ってくれる。楽しい。
こちらは豆皿展からひとつ選んだ子。かわいい。
むかしむかしのバイト先のお姉さんとこんなふうに関係が続き、いつも気にかけてもらって、たまにこんなふうに会うことができ、他愛ないけど大事な話をして、美しいものを愛でる。なんともありがたい関係。大人になる、というのはこういうことなのかもしれない。こういうこと、の部分がうまく言葉にならない。また今度。