皆さんは脳内で画像を思い浮かべることができますか？
「あなたは暗い森の中を一人で歩いています、そうするとある人と出会いました、その人は誰ですか？」心理テストでよく聞くフレーズで、小学校高学年頃に流行っていた気がします。私はこの質問の意図が今まで理解できていませんでした。私は脳内に画像を思い浮かべることができず、それが当たり前だと思っていたので、「なんで人を思い浮かべるだけなのに、余計な修飾をするんだろう？」という疑問を抱えていました。
この文章を読んでも多くの人には直感的には理解できないし、受け入れがたいと思いますが世の中には脳内に全く画像を思い浮かべる事ができない人々が存在します。私もこれに該当し、完全記憶能力者のような例外を除いて他のほとんどの人々も自分と同じように脳内に画像を思い浮かべることができないのだと思っていました。
画像を思い浮かべる事ができないってどういうこと？
「目を閉じて赤いりんごを思い浮かべてください」と言われても、私にはただ暗闇だけが広がり
りんご
まるい
下に向かって細くなり色が薄くなる
底がヘコんでいる
天辺がヘコんでいて中央からヘタが生えている
中央が特に甘い
という概念が展開されるだけです。あくまでも概念であって文字が見えるわけではありません。私はずっとこれが当たり前だと思っていましたが、1年ほど前にアファンタジア(https://aphantasia-jp.com/)というものがあり、自分がこれに該当することを知りました。
日常生活への影響
アファンタジア自体はまだまだ研究が進んでいないもので、病気や障害と定義されている訳ではありませんし、将来そうなるかもわかりません。あくまでも1つのサンプルとして私が体感している影響をお伝えします。
私はアナログ時計を読むのがとても苦手です。学生の頃は何度か1時間ズレた時間に目的地に向かった事があります。私は画像を記憶できないので、例えば18:00の事をアナログ時計で表す為際には以下の様にしか表現が出来ません。
短針が6を指している
長針が12を指している
言葉で表せばこうなるのは当然です。ですが私にはこの概念しか脳内に保存できません。そのため、18:00に約束があり5分前に出発したい場合に、17:55と16:55をよく間違えていました。短針は16:55の場合には5の少し前を指しており、17:55の場合には6の少し前を指しています。
18:00に約束をしている→18:00は短針が6→それより前なので短針は4〜5の間にあるときに向かえば良い、としか考えることの出来ない私の脳内では短針がだいたい4〜5の間にあり長針が11あたりを指していれば「向かう時間だ」と判断してしまい、1時間前に目的地に着いてしまうという事象が起きます。
さて、これを読まれた方は何で間違えるのか理解できず
画像でサンプルを見せて欲しい
17:55なら短針はほぼ6を指しているんだからわかるだろう
と思うかもしれません。ですが、画像を記憶できない私にとっての感覚はまさにサンプル画像の無い世界です。2つ目に付いては次の章で説明します。
ワーキングメモリーが極端に少ない
これは画像を記憶できないこととどのように関連があるか理解が出来ていませんが、アファンタジアは短期記憶力に差は無いがワーキングメモリーに有意に差がある（劣っている）との情報があります。（https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/64/2/64_161/_pdf）ただし、私はこの論文をしっかりと理解できている訳ではないのであくまで自分のことを話します。
1+4+7=？ みたいな一桁であろうと、対象が3個以上になる暗算が絶望的に苦手です。問題に正解できたとしても、追加で「1つ目の数字は何だった？」と聞かれるとより悲惨な事になります。自分の脳内でできる思考は3連鎖ぐらいが限界です。それ以上になると情報・条件がどんどん失われていきます。なので、自覚は無いですが、おそらく思考を3連鎖までに納める癖みたいなのがあって、本来は連鎖する条件を大雑把に1つにまとめたりする癖があります。
先ほどの時計の話に戻りますが、 18:00に約束をしている→18:00は短針が6→それより前なので短針は4〜5の間にあるときに向かえば良い に →0分の5分前に向かうので55分に出る→55分だから短針は...あれ？何時に約束していたんだっけ？？？となってしまいます。