人体の装飾の可能性

森本
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美容院でファッション誌を読んでいると、アクセサリーのページに「パームカフ」なるものを見つけた。パーム(手のひら)とあるが、手の甲のアクセサリーのようだ。手の甲のフチに引っ掛ける、あるいは手掌から手背にかけて一周するバングル的なものを想像されたい。それがパームカフだ。

これには驚いた。リング、ブレスレット、アンクレットときて、次は手の甲のアクセサリー。盲点だった、が、たしかに手の甲は飾る余地のある大きな余白だ。装飾の可能性に感心する反面、個人的には「めちゃくちゃ邪魔そう」「手汗でびしょびしょになりそう」という印象が大きいので、自分が使うのは従来通りバングルだけでいいかなーといったところ。

人間が飾っていない部位、あとはどこがあるだろうか。鼻輪みたいなアクセサリーもあるし、ピアスなんか舌にもあけてる人がいる。首にリングを重ねづけしてどんどん首を長くしていく部族など、アクセサリーによって人体のかたちまでも変えてしまう人たちもいる。さらに科学の力で人体改造する界隈もあるらしいと、クレイジージャーニーで観たことがある。人工的にツノをはやしたりすることで、もはや身体の装飾というか、身体ごと装飾的にしてしまうのだ。あんまり身体に手を加えていると、自分は施術時の痛みなんかを想像してしまってあまり直視できないのだが、そういうファンタジックな見た目が好きな人にとってはものすごいロマンの詰まった世界だと思う。

そんな先例がある以上、多分もう自分の想像力では太刀打ちできない領域だ…と思ったが、おしりは意外とまだ飾られてないような気がしてきた。ここで言うのはおしりを含む腰部全体ではなく、しりのほっぺ単体だ。おしりに自信がある人は、装飾するというよりも、剥き身でしりほっぺをさらけ出してるような気がするのだ。だから、SM女王がつけてそうな装飾性のあるニップレス的なものを、尻のほっぺにそれぞれ貼り付けるのはまだやられてないのではないか。実際にやってる人を見たら、おけつに乳首あるんかいと突っ込んでしまいそうだが。余談だが、両胸にワッペンやイラストが配されているロンTなんかを着ている人を見た際、乳首ここですよ!って言われてるように思えて勝手に気まずくなるのをやめたい。あとは膝かな。マーガレットハウエルぐらいのシンプルなスタイリングに、膝だけ尋常じゃない数のスワロフスキーをつけてビカビカに光らせたら、新しいと思う。