古本市で見つけた絵本。タイトルの良さと愛しさのあまり、衝動買いした。
本当に小さい
でかい象たちが暮らす土地に、一匹だけいる小さな象。でかくて灰色の象たちは、鼻を巻き上げ叫び声を上げる。それに対し、〈ちいさい ちいさい ぞうは わかくさいろで やさしい こえで うたうことが だいすき。からだは ねずみくらい〉。かわいすぎる。絶対に悪いペット業者に発見されないでほしい。そして、このちいさな象はどこから来たのか、ちいさな象自身にも分からない。上の絵は、デカ象どもに「お前はこの土地の者ではない」と詰められてシュンとしている様子。やめてやれ!
ちいさい象は夢を見た。自分と同じ若草色の大地の上、花びらの舞う中にやさしい歌が聞こえてくる。目が覚めると、目の前には夢の中に出てきた海鳥がいた。海の向こうから来たという海鳥に、象は尋ねる。〈そこは ぼくとおなじ わかくさいろの 土地ですか?/木には みどりの 葉が そよぎ 白い 花びらが ちらちら ちって/きこえてくるのは こころやさしい うたですか? おしえてください/白い 鳥さん ぼくの ふるさとは 海のむこうに あるのでしょうか?〉質問攻めだ。ちいさいぞうがこんなにも必死なのに、海鳥は〈波に おきき〉とだけ返す。答えてやれよ! そうして象の質問はたらい回しにされていく(上の写真の花も〈石に おきき〉と返す。答えてやれ!)。さて、このちいさいぞうは、ふるさとにたどり着くことができるのでしょうか…? というような絵本だ。
タイトルが良いと冒頭に書いたが、原題は"The Dream of the Little Elephant"らしい。直訳で「小さなぞうの夢」。味のある「…です」部分は、完全に翻訳者のセンスだったのだ。さらにこの翻訳者、同じ原作者の"Jim"というタイトルの絵本を「ちいさな いぬの ゆめ…でした」と改題しているようだ。だから何なんだその歯切れの悪さは。おくだ つぐお恐るべし。ちいさな犬の本も絶対に手に入れたい…です