サウンドクエストというサイトをちょくちょく見ている。音楽理論を勉強できるサイトなんだけど、とにかくわかりやすいし面白い。会員登録すれば無料で全部読める。
サウンドクエストのいう「音楽理論」は、一般に「音楽理論」という言葉から想像される「守らなければならない暗黙の了解」みたいなものではない。まず、そういうかしこまった「音楽理論」というのは、クラシックで用いられる「古典派理論」(ベートーベンなんかが出てきた時代に確立された理論)と、ジャズで用いられる「モダン・ジャズ理論」(ジャズが誕生し、隆盛したのち確立された理論)を指すのだという。しかし、世界にはクラシックとジャズ以外にも数多くのジャンルがあるし、新しいものもどんどん生まれている。例えば今っぽいアイドルソングを作りたいとき、古典派理論にガチガチに則って作曲したら、「音楽的」には正しくても作りたかったものにはならないだろう。
だから「広大な音楽理論をしっかり勉強し、それをかっちり守る!」というのではなく、「広大な音楽理論の中から自分が必要とする理論をその都度引き出せると便利! だから学ぶし、理論を知ってるからこそ型を破ることもできて、新しいものが生み出せるよね」というのがサウンドクエストのスタンス。長らく自分は音楽理論にとっつきづらさと諦念を感じていたが、このサイトと出会ったことで心理的ハードルが下がり、学ぶのが楽しくなった。
話は変わるが、イメージコンサルティングというものがある。通称イメコン。パーソナルカラーや顔タイプ、骨格などをタイプ分けし、自分に合ったメイクやファッションをすることで素敵になる! というもの。便利な指針だが、これにカッチリ則ってる人は「イメコンくさい」と揶揄されることがある。
このイメコンに忠実すぎる状態は、「音楽理論はガチガチに守らなきゃ!」思考と近いのではなかろうか。イメコン診断の理論単体からはイメコン診断の型しか生まれない。それではイメコンくさい。
あの人のコレと、その人のアレと…
偉人先人達の轍をブレンド
他人のフンドシと
己のスメルと
ちぐはぐな文法
つぎはぎの言語
(『ぬえの鳴く夜は』Creepy Nuts)
↑ここでいう、一人の偉人だけを模倣してる状態というか。韓国っぽくなりたいなら韓国っぽさの理論をブレンドする必要があるし、何より己のスメルを足すことでその人らしい素敵さが生まれる。イメコン理論はあくまで引き出しのひとつとして、なりたいイメージに近づくために使うと便利! という捉え方がいいんだろうなと思った。音楽やイメコンに限らず、これをあらゆる理論に対する基本姿勢にするといい気がする。