最終話終えての所感など。
今作「2世と器」は宗教2世、アロマンティック当事者として、自分のアイデンティティや根源的な願いが詰まっています。春一にも永真にも他のキャラにも感情移入し描いていてしんどいことも多く、はじめてキャラクターを思って泣きました。(6キロ痩せたし…)
描きたい・描かなければいけないだろうシーンを削ることがあり、それがマイノリティのキャラクターの声を手で塞ぐような行為に思えて、初めて味わう悲しみでした。
ただ、担当鹿さんが本当に真摯に向き合ってくださったので持ち直せました。ほぼ意地というか…で、10数ページを1ページにしてでもねじ込めたので良かったです。実際私の願いや感情を抜きにしても、漫画として入れていて良かったシーンになったと思います。
また、この感情が湧き上がるような熱を入れられるものが描けたのは良かったし、私を助けてくれる作品になるだろうと思いました。この本が誰かをすこしでも救ったり、情報アクセスへの足しになればいいなと思います。そして同時に永真と春一の物語として楽しんでいただけたら嬉しいです。
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「挑戦的だね」「面白いテーマだね」と言っていただいたスタートでしたが、わたしはストレートに今一番描きたいことだから描いた、でしかありませんでした。テーマに据えることの責任の大きさ(はじめて宗教2世のこと、アロマンティックを知る人がいる可能性)は後からじわじわと自覚して、背筋が伸びました。とくに宗教のことは“理解できない、触れたくない”“ヤバい人たち”な扱いをされがちなので、人だよーという当然の話もしたかった。
というか「2世と器」はずっとあなたが対峙してるのは「人間」だよ。「別の個体」だよ。の話もしていました。
最終回はルート分岐して考えていて、警察があんな協力しないリアル路線もあったのですが…現行にしといてよかったかなとは思います。
漫画は共感が大事といいますが、じゃあマイノリティが主役のものは売れないんか?という気持ちがあり、多くの人が共感しないかもしれない物語を描きたいし求める気持ちがずっとありました。知らないことに巡り合うことも読書体験だと思う。自分の物語だと感じた方は共感ポイントも反発ポイントも教えていただきたいなと思います。当事者でも当事者でなくても大事にしたいと思ってもらえる作品になってるといいな。
今は単行本作業で特典を描いてます。描いてますと言っていますが、確定申告作業に追われてまだしっかり着手できていません。
表紙デザインをバルコロニーの永山さんに担当いただいています。バルコロニーさんはデザイン的にかっこいー!と存じ上げていて(A3とか百合姫とかカリスマとか)引き受けていただき嬉しかったです。
直近でデザイン案をいただいてカッコ良すぎて1人でワーワー言いました。帯デザが個人的に激イケで早く現物みたい!になりました。
そして永山さんが「2世と器」のテーマ性に沿ったあしらいをチョイスしてくださっていて本気で涙出ました。帯とカバー表4の英文を読んでください。
「Life isn’t about finding yourself. Life is about creating yourself.」バーナード・ショー氏の言葉。
「人生とは自分を見つけることではない。人生とは自分を創ることである。」永真と春一が走っていく姿が見えて涙が出て、こんなプレゼントがあるのかと驚きました。こちらの意図をより最高の形に引き上げてくださり感謝しかないです。
CUREBLOODのときももちろん感じましたが、多くの方が携わってくださったことをより感じました。携わってくださった皆さま本当にありがとうございます。
次回作は未定ですが、お仕事させていただけるようなので(ヨカッタ〜〜〜!涙)次回作も楽しみにしていただけたら嬉しいです。