天はいずこに

inuikei
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公開:2025/12/14

 ごきげんよう。瀬ですね。年の。まだこの日記(?)を読んでくださっている方はいらっしゃるのでしょうか。わたしはもう自分が過去になにを書いていたのか覚えていません。人の細胞は3ヶ月で入れ替わる。そのため9月13日以前のわたしはもはや他人も同然です。したがって覚えてないのもやむなしというもの。

占いに行ってきたんですよ

 これを書きにきました。動機:人生に迷っているから。

 占いに行く人はみなそうであろう。ちなみにわたしの対人占い履歴は、

①子どもの頃、犬の幽霊に取り憑かれて夢遊病を発症していた時期があり(親の証言によるもの。わたしは覚えていない)、霊媒師的な人に頻繁に視てもらっていた時期がある(それは覚えている)←これが小学校低学年くらいのとき。そのあと何かにつけて霊視的なものをしてもらっていた。高校生くらいまで…。

②東京で学生をしていた時、横浜中華街の占い師に通りすがりに視てもらった。「あんたは何でも言うこと聞いてくれるような男としか付き合えないよ」と言われたことだけ覚えている。

③3年前くらいに人生に迷っていた時、よく当たると評判の近所の占い屋さんに行ってみたが、問診票みたいなものに意中の異性について? 書く欄というか、設問のようなものがあり、わざわざ「異性」に限定されている時点で不信感を抱いてしまった結果、あまりいい内容にはならなかった。占いって不信感をもって接したら当たるもんも当たらない気がする。すなおに話が聞けないからね。

④今回。

 *

 家の人が前に視てもらって、「ズバズバ視てもらえて気持ちいいよ」とのことだったので興味をもちました。LINEで90分コースを予約して当日、ふつうの一軒家にお邪魔する。占い師は丸っこくてかわいいフォルムの女の人だった。目つきが独特で、老婆ではないのに目だけがフィクションでイメージされるような占い婆そのものだった。視線が重い。愛想はとてもいい人で最初から話しやすい。

 はじめまして、と挨拶したら「はじめまして?」となぜか聞き返される。前にも来たことがなかったかと言われた。家の人(血縁)が~と言ったら「ああ、あの(家の人の職業)やってる人か」←2年前に一回こっきり来た人のことをよく覚えている……。よくいる職業ではないからかもしれないが。

 まず生年月日でおおよその人柄を言い当てられ、カードの占いに移行する。この占いがものすごく独特でおもしろかった。何せずーっとカードをめくっているのである。すごいスピードで。ずーっと。会話しながらずーーーっとめくりめくりめくりめくりめくり……こんな一生カードめくってることある? ここぞ! とばかりにめくるものじゃないのか? そして会話の中に質問を混ぜると、めくっていたカードをぴたっと止めて、大量に重なっているカードのうち最新の3枚くらいを指し「(このカードが出てるから)それは◯◯だね」といったような解説がなされる。

 カードに会話を聞かせているような印象を受けた。わたしの話しぶりはというと、まずは職場の悩みを相談したかったので「最近の仕事はこんな感じで、上司がちょっとこういう感じで…」みたいな具合だ。こういう話の端々で「ああ、その上司は利かん坊だね、何を言ってもムダ!」と止めたカードを指さしながら言うのだ。占い師を通じて上位存在的なものにリアルタイムでお伺いを立て続け、その上位存在の言葉を占い師が翻訳しているような感じ? これが今までにない方式で面白かった。

 悩みを聞く→ではカードにきいてみましょう…ペラ…ペラ…このカードは……じゃなくて、悩みを聞きながらペラペラペラペラ…これはこう、それはそう、あれはどう、という具合に話が進むので異常にテンポがいい。

 もちろんこの無限ペラペラだけではなく、ちゃんとこっちがカードを選ぶターンも少なからず回ってくる。特定の質問をして指示された枚数だけカードを引き、その組み合わせで運勢を見るような感じだ。うんうん、オーソドックスだね。

 しかしここでも面白いことが起こる。

「はい、それではあなたが迷っている選択肢のうち①を選んだらどうなるか、3枚引いてください」「じゃあ②は」「次③」「逆にこうしてみたらどうなるか、はい3枚」みたいな感じでズバズバ引かされる。わたしもペラペラペラペラするんだこれ……。しかも最後の質問はわたしがしたわけではなく占い師のほうで考えてくれている。それがことごとくわたしの聞きたい質問を先回りで言ってくるものだから驚く。優秀なAI?

 間に占い師の身の上話が始まったときはなんの時間だろうこれは(身の上話自体は面白かったので普通に聞いてしまった)と思ったものの、始終こんなテンポで占いが進むのであっという間に90分を使い果たしてしまった。時間いっぱい話した終わりにもう聞きたいことはないかと聞いてもらえたものの、時間を意識して大丈夫ですといったら「では締めに入ります」と言われる。締めは時間外なんだ~。最初の生年月日聞き取りも料金外だったのでめちゃくちゃ良心的だな…テンポがいいからたくさん質問できるし。

 なんとこの締めが15分ある。

 長くない?

 まずカードが全部で20種類くらいあって(!)、メインの占いでは4種類くらいしか使っていなかったが、締めでは残り16種類くらいを順番に1枚ずつ引かされる。なげえ~。すべて違うことが書いてあるカードのようだが、メッセージの方向性がおおむね揃っているのが不思議だった。全部のカードにそういうことが書いてあるのかもしれない…?(疑心暗鬼)いや、さすがにもうちょっと意味は散っていると思うから、やっぱり神秘的な何かが作用しているのかも。

 疑心暗鬼といえば、引いたカードにいいことが書いてあって、占い師がそれについて説明したあと、わたしは「そうなるといいなあ」と言っていたのですが、これを途中で怒られた。

「そうなんだ」と言え、とのこと。

 占いの途中でも「あなたは悪いことを考えすぎる、それが悪いものを引き寄せている」と言われたけど、それに通ずる話なんだろうなあ。信じる力がわたしには足りない。これはかなり自覚しているつもりだったんだけど、それでもなかば無意識に「そうなるといいなあ」って、疑り深いにも程がある言い回しが出ちゃうくらいなのだから、思ったより根深い自己不信があるようだ。

 もはや占いではなく心構えの話(とは言え占いも心構えの話ではあるように思う)だけど、全体で言われたことのなかでこれが一番染みたような気がする。「そうなんだ」と言え。はい。「そうなるといいなあ」ではなく。「そうなる」と言え。信じろ。はい。

 すなおに飲み込んだにもかかわらずそのあと2回くらい「本当かなあ」「そうだといいなあ」と言ってしまい、これは完全に口癖!! あっ違う、そうなんだ!! と言い直すたび占い師は、責めるでもなくただにこにこ笑っていた。いい人だ。この人占い師に向いているなあと思った。どういう感想?

 最後にハーブの香りを嗅がされて(※ヤバいやつではない。なんの香りかは説明されなかったけど大体嗅ぎ覚えのある香り(ラベンダーとか)だった)、ヒーリング的なものをされて、90分コースといいつつ2時間弱楽しんで、おいとました。

 この日は地吹雪だったのでこの2時間のあいだに車が凍りついていたが、楽しかったので凍えずに帰った。また状況が変わったら相談がてらに行ってみよう。

天はいずこに

 おっと、タイトル回収を忘れていた。

 自分がこれからしたいことについて相談した時、占い師は「天が許してくださっている、やらない理由がない」と答えてくれた。

 わたしは思わず斜め上を見た。特に空間的な雰囲気づくりはされていない一軒家の居室。頭上では白い蛍光灯がこうこうと灯っている。

 天とはなんだろう、と訊ねたかったが野暮かと思って控えた。つまり神様的なものを指しているのは分かるし、その実在を疑いたいわけではない。わたしは神を信じているというよりは、信じるところに神はいるという考えだ。イマジナリーフレンド的な。一気に格が落ちたな。妖怪みたいなものだとも思っている。急に俗っぽくなったな。

 わたしの信仰論はさておき、訊ねたかったのはもっと率直な意味で、天はどこにあるのかと言うことだ。それはたぶん空ではない。宇宙でもない。人が神の住処という意味で天と呼ぶとき、それはどのへんに、どのようにしてあるものと思われているのか。本当に目の前の占い師が天なるものの実在を確信していて、交信も可能だというのが事実なら、訊ねてみたかった。

 天はいずこに?

 わたしが神に祈るとき、どんな角度で祈るのが適切なのかと。