ハロプロにおける「笑顔」一考

iriko meshi
·

ハロプロ楽曲の「笑顔」という言葉の扱われ方について、自分なりに好きなポイントをまとめてみた。

◉ 松浦亜弥 『オシャレ!』(2002)

笑顔が不自然 / そんな風に みんな言うわ/ 意識した事なんてないし /ほっといて欲しいわ / 自然と 出るのよ/ 無難な 愛想笑い

まず、この曲。出だしから、こう! こんな歌詞、思春期の女子(トップアイドル)に歌われたら、え、そうかな?かわいいけど、、とならぁな。"笑顔が不自然って言われる"って完璧なアイドル・あややに歌わせるつんく♂はこわい。でも、アイドルの笑顔って本来の自然な笑顔ではないのよな。そこからの"自然と出る無難な愛想笑い"。え、親近感!これです!この出だしで掴んで聴かせるテク、ずるい。ここ以外にも全編通して『オシャレ!』は名曲。

◉ スマイレージ(現アンジュルム)『ええか!?』(2013)

アッパーなヒップホップにのせて歌われる悩める若者の主張と葛藤。それに対するつんく♂節全開のエールソング。クセになるリズムとまだ健在だったつんく♂コーラスが心地良い。「ええか!?」の英訳が「Do you get it !?」なのもアツい!

心の傷がまだ癒えぬ / 笑顔やっぱ不自然/悩めば戻るわけじゃなし/分かっているけれど

ちょっとは克服したかに思えた不自然な笑顔、また指摘されたのかな?いつもなら乗り越えられる局面、ムリしちゃったのかな?!そんな想像に駆られる。ハロプロ楽曲に出てくる人物像はいつもちょっと背伸びしてる。「笑顔」は理想的な自分、本来の自分ではない部分の象徴のように思う。

◉モーニング娘。’21『よしよししてほしいの』(2021)

前段で語った「笑顔」の象徴性について、ここまでハッキリ歌われたのはこの曲かなと思う。二番冒頭の歌詞。

笑顔は私の 防御ですから / 返事がいいのも 防御ですから / 優等生なのも 防御ですから /

その後に、「みんなそれぞれに防御があるんでしょうが」と続く。

これはほんの一部に過ぎないが、つんく♂が明確に、年頃の、特に女子の「笑顔」と言うものをどう捉えているかがうかがえる。私はそれに猛烈に共感する。今になっての話ではあるが。「笑顔」は外ズラであり、本来の自分とは別の感情がたしかにそのとき存在するのだと都度思い起こさせる。

で、かと思えば、

好きな相手には「笑顔」を強要したりするのは、なんでなんだろう?人間の不自然さであり、自然な感情でもある。のかも。

@irikomeshi
しんぷるにむりはしない。