これ。ちょっと話題になって積んでたやつ。
マウンティングとは「マウント」とも略称され、相手に対して自身が優位な立場であることを誇示する意味合いで用いられる言葉だ。
マウンティングポリス. 人生が整うマウンティング大全 (p.2). 株式会社技術評論社. Kindle 版.
本の出発では、基本的に人は他者と比較し優位に立ちたいという欲求は逃れられないものだが、とはいえ不毛なマウンティングは疲弊につながるため避けるべきものと主張している。特に SNS での大量のそれはより疲弊する。そのためにマウンティングを否定するのではなく、理解し味方につけ、人生うまくやろうというのが趣旨らしい。ここはへーなるほどなと思って読んでいた。
7割くらいはよくあるマウンティングの例をパターン化して紹介している。最初はここ目当てで「面白おかしく読めるかな」と思ってたんだけど、実際読んでみると思いの外しんどくて解説はほとんど読み飛ばしてしまった。また、「これマウンティングか?」と思うものもいくつかあって穿った見方するなあとも感じた。でもよく考えたら SNS での生活水準が同じ人たちの仲良しな会話の一端を、別の水準の人が見るとマウントと捉えられてしまう、というのはある。
残りはマウンティングを武器として世の中を生き抜く的なことも書かれていたが、内容は世の中にあるビジネススキルだったりプロダクト開発やマーケティング戦略を「マウンティング」という軸で再構成しているような感じだった。例えば共感・尊敬・謙遜を意識した枕詞や態度をマウンティングで、と紹介されていたが、コミュニケーションとしてはよくあるテクニックだし、ここに無理やり「マウンティングさせてあげる」を加えることで表現面で尊敬が欠けたり印象が悪化している。やってることは似ているんだけどスタンスが趣味じゃなかった。あとはマウンティングエクスペリエンス(MX)といった造語を軸に Facebook や Apple の成功を分析しているが、こっちは結構こじつけ感があった。
マウンティングエクスペリエンス(MX)とは、「マウンティングを通じて人々が得る至福感、多幸感、恍惚感」のこと。言い換えれば、「自分は特別な存在であると認識(誤認)させてくれる体験」のことを指す。
マウンティングポリス. 人生が整うマウンティング大全 (p.165). 株式会社技術評論社. Kindle 版.
全体的にネタに寄ってるという感想。個人的な気づきは少しあった。
個人的な学び
「マウンティングは人の欲求の一部であり逃げられない」というのはそうかもなって思っている。マウンティングは承認欲求の表現の1つであり、相手を不快にさせてしまう避けるべき表現と思っている。この考えはこれからも変わらないが、自分でも会話やポストでつい承認欲求が顔を出してしまうことは全然ある。意図的にやってる人もいるだろう。ただこの本を読んだことで、ある程度出てしまうのは仕方ないし、これを武器に頑張ってる人もいるんだなとか、ちょっと疲れちゃってるのかなみたいに相手のことを考えることができそう。自分に向けられたマウントも「あーそうだよね、そう思われたいよね」と寛容になれる気がする。受け流せなくて「おっマウントか?」とネガティブ感情が発生してもそれ動力として行動できる人もいる。うまい付き合い方はあるだろう。
しかし今書いてるこの文章もそういった表現が見え隠れしてるんだろうと思うと、とても生きにくい。一回休もう。