はつこいのひと

kyhi
·

元々

この内向的な性格は

生まれつきなもので

幼稚園に入って最初の年

僕は同級生の子たちとなかなか友達になれず

ひたりぼっちだった

登園する時

小学生と一緒に自治会ごとに

集団登校していたので

その時一緒に登園していた

幼馴染の女の子がいた

歳は1つ上

その子は

なかなか友達ができなかった僕と

幼稚園でいつも一緒にいてくれた

幼稚園の土管に

いつもふたりでいた

僕の世話を焼いてくれた

お姉ちゃんのようなひとであり

僕のはつこいのひと

僕とその女の子は

年がひとつ違うから

卒園するタイミングで

彼女は僕のもとからいなくなってしまった

あまりこのあたりは記憶が曖昧だが

引っ越すようなことを言っていた気がする

世界が狭かった幼い僕には

なんのことだかわからなかった


翌年

自治会が小分けにされて僕が住むところは

ほんとに小さい自治会になり

その女の子が住んでいたところとも

離れ離れになってしまった

内向的で

他の子とあまり仲良くなれない僕でも

少しだけ強くなれたのか

友達がたくさんできた

いろんな遊具で遊んだ

あの女の子と

いつも一緒にいた土管は

ポツンとあったままで

土管を見るたび

あの子にあいたいな

そんなことを思うこともあった


僕は小学生になった

近所の人が

僕の1つ上の人達が多かったおかげで

1学年上の人と話すことは多かった

ある日

僕が3年生くらいのとき

好きな子はいるの?

ときかれた。

僕は考えたけど

どう考えてもあの女の子のことを忘れられなくて

なんとなしに

いる

と言った。

けど

そこから

何か

おかしかった

1つ年上だったあの女の子を

1学年上の人たちに

聞いても

誰も覚えていない

子供だから

そういうものは

あまりわからんものかと

もう忘れてしまったのだろうと

そんなことを思っていたが

どうしてだろう?

僕はその女の子の容姿を

覚えている

名前も

はっきり今でも覚えている

のに

その時

名前を覚えている人がいなかった

もちろん

その話をしたのは

数人の間のことなので

その時は

そういうもんだろうと

思っていた

幼稚園は

卒園アルバムもなく

写真がある程度だったけど

それを見せてもらってたら

話ができていたはずだったろう

気恥ずかしさに負けた

自分を悔やむしかない


話は少し遡り

僕の同級生にも

少し違うところに引っ越して行った人がいた

でもその子のことは

僕も

みんなも覚えていたし

中学で再開した

どうして

僕のお世話をしてくれた

あの女の子のことは

誰も覚えていないのだろうか

一緒に登園していたから

家も覚えている

はずなのに


しばらくして

僕の人生も

目まぐるしく動き続け

記憶の片隅にはあったろうけど

その事はほぼ思い出すことはなくなっていた

はずだった

大人になって

初めてこの言葉の存在を知ることとなった

イマジナリーフレンド

この言葉をきいて

僕はゾワッとした

ありえる話かもしれない

でも

認めたくなかった

心の奥底で

嘘だ!

って叫んでいた

誰とも馴染めず

いつもひとりだった

僕といつも

一緒にいてくれた

あの女の子は

僕が作り出してしまった

存在だったのか?

顔も

名前も

こんなにはっきり覚えているのに?

今となっては

手掛かりが少なすぎて

わからない

もし

また

逢えるならば

あのとき

伝えられなかったことを

伝えたい

ありがとう

僕はあれから一緒に遊んでくれる友達ができたよ


この話は

今までほぼ誰にも話したことのない

僕の本当のお話

僕のだいすきなお姉ちゃんで

僕のはつこいの人の話

大人になって

ネットワークの世界が広がって

僕は

この女の子のことを

何度も調べたし

何度も探した

当たり前だけど

何も見つからなかった

記憶と現実に

矛盾しているところもあり

ただの記憶違いなのか

それとも

もし

あの子が

実際にいても

いなくてその当時のままだとしても

いまの僕を見て

どう思うだろうか

相変わらず

内向的で

人付き合いは下手くそだけど

伴侶がいて

子供がいて

それなりに穏やかに暮らせている

そんな僕を

笑って褒めてやってくれるだろうか

@iruca
日々のことやマインドを随筆にして残していってます。 podcastをやっています stand.fm/channels/65c586070a4a74f98fb66fc9