成人式に行ってきた。久々に会う旧友は思いの外、五年前と変わっていなくて安心した。友人と話していて、くだらないことを言い合っていたあの頃の日常を懐古して、なんだか感慨深かった。
五年間の高専生活で成功も失敗も酸いも甘いも経験し成長したと思っていたが、実際会場に行くと自分は五年前から微塵も成長していなかったことが分かり愕然とした。色々な成功体験や苦悩を積んだ先には、何も変わることができない等身大の非力で矮小な存在である自分がいた。この頃、頻繁に感じている自分と異なる素質を持った友人とのギャップを会場でより強く感じてしまって、楽しさの中に悲観的な感情が混ざった。
楽しさや懐かしさ、自己嫌悪が一巡した後、あの頃と変わらずにモノマネやギャグをする友人がいて、それを見て一緒に笑う自分がいることに気づいて、なんだか肩の荷が降りた気持ちだった。二十年間過ごしているうちに、いつのまにか僕は、自分の有りたい姿を自分の外部に置いてきてしまっていた。他人と比較して一喜一憂したり、素質の違う友人に憧れたりするのは、心を徒に消耗するのみなので、もうやめよう。
思えば、何者でもない自分への苛立ちから高専に入ろうと思ったんだっけ。もちろん、理由はそれだけではなかったような気がするけれど、普通科高校の道を選ばず敢えて道を踏み外したのはそういう感覚だったよな。五年間同じ環境で日々到来するタスクや悩みを対処していたら、いつの間にかここに流れ着いてしまっていた。大きな功績を残すことはなかったし、ましてや何者かになれたとは思わないけれど、まぁそれでいいかな。また明日もぼちぼちやっていくしかない。