言葉を残すこと

is_hoku
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友達や知人の文章が読みたい。文章にはその人の性格や人生が僅かながらでも宿るのだと信じているから、文章を読んでいるとその人のことが少し分かったような気になる。こんなことを思っているのに、自分が文章を書くとなると、とても慎重になってしまう。

文章を残すことには危険が伴うと思う。例えば、何かのエピソードを添えて「僕は繊細な人間です。」ということを書いたとすると、僕自身はその文章を何度も読み返して、その度に自分は繊細な人間なのだと自覚を強める。そして、その文章を読んだ友達は、僕を繊細な人間だと認識し、そのような人間として扱う可能性がある。こうしていくうちに、自分の繊細でない一面を発見した時に、自分や他人が違和感を持つようになる。それはお前らしくないだろ、と。心の一瞬の動きを切り取った文章を残すことは、自分の枠組みを狭めたり、キャラクターを固定化したりして、それに沿わない情緒を自分で排除することになってしまうように思える。また、過去の文章を取り上げて、こいつはこんな軽薄なことを考えていたと論う人がいるかもしれない。

まぁ、それでも、何も言葉が残らないよりかは良いのかもしれない。