『よだかの星』を読んで

is_hoku
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よだかは自分の存在そのものを周囲の鳥たちから否定され、終いには鷹から存在を理由に殺すと脅される。あまりにも悲しいが、一番親しいはずの兄弟は美しいかわせみとはちすずめなので、この悲しみを共有することができない。よだかは抵抗することができないほど無力なためか、周囲を憎むことをせず、ただ悲しみに暮れているというのも切ない。死ぬ瞬間だけでも小さな光を放ちたいと考え、太陽や星に近づいて死んでしまおうとするが、相手にされず死に方すら選べない。そんなよだかが、泣きながら空へ飛んでいくと体が燃えて、青白い炎に包まれて星になる。悲しくて辛くて孤独なよだかが、星になって長い年月輝き続けていることには美しさを感じる。また、鷹に殺すと脅された日の夜に、殺されることの辛さを知ったよだかが、自分の生命を維持するために羽虫を殺していることに気づいて辛くなるところも良い。どうしようもなく辛くなった日の夜に空を見上げて、星になったよだかに思いを馳せると、悲惨さの中にも美しさや尊厳があるような気がしてきて、僅かながら希望を感じることができる。