裁判員候補になった話(4)-最後に-

isakipon
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以下は、今回の件に関する個人的な所感です。

殺人事件とわかってから、なにが心配だったかというと、

・子供が犠牲になった事件だったらどうしよう

繰り返しになりますが、これが一番怖かったです。子供が傷つく様を法廷で説明されたら…と思うと震える。無理。虐待の裁判とか無理。虐待の動画が流れてきたら椅子ごと倒れる自信がある。

・裁判に着ていく服がない

コロナ禍でがっつり引きこもっていたため、外に着ていく服がない。ボトムは基本的にジーンズしか持ってない。とりあえず選任の時は普段のラフな服装でよいらしいのでジーンズで行き、裁判員に選ばれたらその時は服を買おう、と思っていました。ただ選ばれてから公判まで1週間もない。短い。これは焦る。

・9:30~17:00まで裁判が予定されているので、夕飯の支度が大変

主婦なので。夕飯の支度をどうしようかと。朝、家を出るときには炊飯器のセットをしておかないといけない。

且つ、会社員である家人が現在リモートワークで1日中家にいるため、お昼の用意も準備しておかないとならない。自分の分を含めてお弁当を作るしかないか、と考えていました。

(公判中は外部からの接触を少なくするため、基本的に外食できず、出前かお弁当になる模様です。食堂はコロナ禍で休店してる裁判所が多いようで)

・市民感覚を裁判に取り入れると言われても

コロナ禍でずっと引きこもって家にいたので、通常の市民感覚を求められてもよくわからない。

元から引きこもりで更に思考の自己完結度が高まっており、他人と議論をして結論を出すというスキルが壊滅的に。話し合いってどうすればいいんだっけ。

・人混みが怖い

裁判員は裁判所まで公共交通機関を使用するように言われるので、インフルエンザなどをもらいやすくなるなあ、それは困るなあ、などと考えてました。評議室で議論なども交わすので、その時飛沫が飛んだりしないかなあ、と少し潔癖症入ってる自分は心配したのでした。

・その他

今回は3か月にわたる裁判の話でしたが、ニュースを見ると京アニ裁判は5か月、甲府市の放火殺人事件は4か月と長く、死刑も視野に入った裁判員裁判です。その間、仕事や家事を休み出席する裁判員の負担も相当なものと思います。

裁判員制度が始まって10年以上が経ち、精神的、或いは経済的不利益を理由にした辞退のノウハウも広まったようで辞退率も年々上がっているようです(京アニ裁判の辞退率は4割以上だったとか)。裁判長も、あまり積極的でない人を選出して休まれてしまい、裁判が滞るのは避けたいのか、

「けがを負った写真等が無理だと思ったら、その旨当日質問票に書いてくださいね」

と繰り返していました。

裁判員への刺激を配慮してか、ご遺体の写真が出ることもあまりなくイラストなどで代替され、それで正しい判断ができるのか、という声もあるようです。ただ、今回の被害者は数十回刺されてお亡くなりになっているので、ご遺体の写真を見るのはかなりハードルが高かったのではと思います。2013年に裁判でご遺体の写真を見たことでPTSDを発症した、と国に裁判を起こしたケースもありましたし。

まとめ

裁判員裁判では、性被害事件等の量刑が重くなり、介護の末の殺人などは軽くなる傾向があるようです。市民感覚からすると、それはそう、と思いました。まあ控訴されたら、ひっくり返されたりもするのでしょうけど。

裁判員選任のくじの結果発表の時は本当にドキドキしました。血圧計があったらきっと160超えてるレベル。

あの時、番号が発表され、目の前で立ち上あがって別室に移動した人たちの姿は今でも浮かび上がります。最近知ったのですが、本来敷地内では撮影録音が禁止の裁判所で撮影をし、法廷にいる人(傍聴人含む)の名前や住所、家族などを掲示板に晒したり、容貌を揶揄するムーブメントがあるらしい、と聞いて「法廷怖い」と思ったのでした。裁判員さんたちのプライバシーが守られますように。

現在公判中ですが、無事裁判が滞りなく終わることをお祈りしております。傍聴した人の話によると被告人の態度により休廷、退廷があり、波乱含みらしいですが。

尚、今月更新された裁判所の開廷情報によると、最初に紙で知らされた裁判日程よりだいぶ短縮され、期間が3か月ではなく2か月となり、判決日も1か月くらい前倒しになっていたので、少しでも裁判員さんたちの負担が減っていればいいなあと思ったのでした。

(画像は机の上にあったバインダーの資料の中にあったものより)

今年の裁判員候補者名簿から外れます、とあるけどもう年末なので!

また来年に名簿に載ったよ、と封筒が来る確率もゼロではないわけで!

(終わり)

@isakipon
その辺の主婦