病室でネットを眺めていたら、新刊ではないが筒井康隆「誰にもわかるハイデガー」が紹介されていた。「存在と時間」を解説した講演録で、小説家が哲学をねえ、というのもあるが、死を思うことから生きる意味を考えるというような概略に引きつけられる。我が家で手付かずの文庫全4冊が埃をかぶっているが、とりあえずダイジェストを読むのもありかと、電子書籍を初めて買ってみた(字が大きくて読みやすい!)。社会学者の大澤真幸が長い後書きを添え、的確にエッセンスを抽出していると評していたが、筒井本人は「これで分かったと思ってもらっては困る」とも。ここでさらに短く説明するような愚は避けるが(そもそもできない)、作家というものは本当にいろんなものをたくさん読んでいるからこそ、良いものが書けるんだなと改めて思った。