看護師は同時進行で幾つもの仕事をこなす。誰かに関わっていても、近くでコールがかかれば中座して駆け付けることも。待つ患者の元へ戻っても何をしたかを忘れることがある。忘れるといっても作業中のことは見れば分かる。その前の段階としてトイレに付き添って戻ったばかりだして、点滴台の電源を落としたのに復旧を忘れるといった具合だ。この手のことはしょっちゅうで、いつも自分で後始末する。人間のやることだから仕方ない。ところが今朝は驚いたことに、排出液を点滴台につなぐチューブが途中の接続部分が外れ、床に落ちているのを発見した。廃液をためるパックにつながっていないのだ! 幸い排出量が減っており、排水まみれの事態は避けられた。体内の管からの出口部分をガーゼで覆う方法といい、今の私の治療の基本に関わるノウハウがきちんと共有されていない。もはや言葉もなく黙っていた。