最初は「相手の立場になって考える。」と書こうと思ったのですが、こう書くと「他人に気を配りなさい」「他人のために行動しなさい」という自己犠牲をたたえた言葉だと誤解されかねないので、敢えて「相手の立場になりすまして考える。」としました。「相手の立場になりすまして考える。」という考え“型”は、自己犠牲とは無縁です。むしろ、視点を増やし考えの幅を広げ、自分にプラスにしようという試みなのです。もちろん、ホントに誰かになりすまして悪いことをしようっていう話ではありませんので、悪しからず。
「情報の非対称性」は、相手の立場になりすませば解消する
「情報の非対称性」とは何か
さて、突然ですが「情報の非対称性」という言葉をご存知でしょうか? 経済学の教科書では「市場における各取引主体が保有する情報に差があるとき、その不均等な情報構造を情報の非対称性と呼ぶ」なんて説明がなされています。たとえば、中古車を買いに中古車のお店にいき、店頭に並んだ中古車を眺めている状況を思い浮かべてください。中古車に書いてあるのは、車名と値段だけとしましょう。このような状況では、車がたとえ故障していようともお客さんにはわかりません。買い手であるお客さんに比べ、売り手である販売店のもっている情報が圧倒的に多い、このような状況が「情報の非対称性」が生じている状況といえます。 お客さんであるあなたはどうするでしょうか? 走行距離・年式・事故歴など知りたい情報を確認するでしょう。用心深い人は、試乗して問題なく走るか、走行感が心地よいかといったことをチェックするかもしれません。誰しも少しでも多くの情報を得ようとするでしょう。経済学でも、「情報の非対称性」が大きい取引に買い手は手を出さないべきであり、「情報の非対称性」が小さくなるように売り手は情報を開示すべきという結論になっています。(…当たり前といえば当たり前ですが、学問の世界では驚くほど当たり前の結論を小難しく回りくどい言い方で表現することはよくあることです。)
グルメ情報における「情報の非対称性」
「情報の非対称性」は中古車市場に限りません。たとえば、ビジネスでデートで合コンで、食事の場所を“ハズせない”場面は多いものです。どのような雰囲気の店か、メニューは何か、価格帯はどのくらいかなど、グルメ情報サイトで、くまなくチェックしたのに、いざ行ってみるとダメだったという経験はありませんか? ダメだった原因として、よく店員の接客姿勢が挙げられます。グルメ情報サイトは、クチコミもありますが、お店から出された情報が中心です。「店員の接客態度」について書かれていることはまずありません。仮にあったとしても、良いようにしか書かないでしょうから、判断材料になりません。 グルメ情報サイトで気に入った店が見つかったら、求人・バイト情報サイトでその店を検索してみましょう。その店の求人情報がどうなっているかで、そのお店の店員のレベルが推し量れます。「最初は笑顔だけできれば大丈夫」なんて言葉が平気で書かれている店は考えものです。「友達をつくろう」と書かかれている場合も、目的を履き違えた店員が出てきかねません。同様に「履歴書不要」「日払い」などもいただけません。いつもの通り、グルメ情報サイトを検索するのにプラスして、求人・バイト情報サイトをちょっと検索してみる、それだけのことで「情報の非対称性」が小さくなり、賢い選択ができるようになります。 グルメ情報に限らず賢い選択をする際のポイントは「相手の立場になりすまして考える。」ということです。自分が働く立場でプラスなこと(例:「笑顔だけで大丈夫」)は、サービスを受ける側にとってはマイナスということが多いものです。サービスされる側の自分が「もしもサービスする側だったら…」と、相手の立場になりすまして考えてみると視点が広がるでしょう。
⇒ 賢い選択のために、「相手の立場になりすまして考える。」
この考え“型”は恋にも効く
この考え“型”を恋愛に応用してみましょう。女の子の気持ちがわからない…などと悩む前に、男性なら女性誌を買いましょう。女心がわかって勉強になります。時には「バレンタインにチョコを贈ってあこがれのあのバックをゲットしよう!」なんていう企画があって驚きます(笑)。女性も男性誌を買ってみましょう。きっと男のナイーブさ・おバカさんさに気づくことでしょう。