カナダから帰ってきた。大自然を見る旅になった。都会と都会における労働に疲弊している身には、やっぱり山の空気がおいしい。肺いっぱいに空気を蓄える。
向こうに住む友人に会うのが第一目的だった。それ以外のことはあんまり優先順位が高くない。学生の頃からそれなりにたくさん共に旅をしてきたわたしたちは、旅にあまり多くを求めなくなったと思う。その場で、面前で、出会うものだけ拾い上げられればそれで十分。今回は車も借りて運転できるようになった。左ハンドル右車線で、高速で120km/h以上飛ばすことができる。気づけばずいぶんと、オトナになった。車の旅は、さらに必死さを減らした。緻密な時刻表と睨めっこする必要もない。行きたい時に行きたいところに行ける。どこにも行かないということも選べる。
あんまり快晴ともいかず、だけれども何かを欲張るような気持ちも生まれず、ゆっくり旅ができた(運転は疲れた)。互いの人生におけるさまざまな傷つきは、明確な言葉ではなくとも、共に過ごす時間でやんわりと癒せるのかもしれないと思った。どんなことがあってもあなたの味方だよ、遠くに居てもきっとあなたも踏ん張っているはずと思えるから、とそれだけ伝われば十分かもしれない。
一方で、現在のわたしには45時間超の残業を当たり前とおもい、それ以上の勤務表をつけさせてももらえない同業他社の友人たちと旅をするのは得策ではなかったかも、とも思った。比べる必要なんてないと分かっているのに、比べてしまいそうになるから。
そういうわけで、新しいものとの出会いよりずっと、自分の内側と向き合ってうんうん唸るような旅だったかもしれない。引き続き思いついたらぼちぼち旅行記を書いていきます。