『グレイズ・アナトミー』を観ている。シーズン15。4年前、とある手術で入院していた頃にシーズン1~15までぶっ続けで観て以来の再開である。ちなみになぜ今見直し始めたかというと、『FROZEN』のために入会したDisney+の元を取ろうとしているからである。
当時は手術を控えていたこともあり、自分が感じるかもしれない痛みを、他人の腹が切り裂かれる様子を観ることで予習していた。自分よりひどい怪我を負っている人(木だとかスキー板だとかが身体を貫いてたりとかそういうの)を熱心に見つめていた。半ば自傷行為のようだった。たぶん看護師さんたちには変な奴だと思われていたに違いない。それくらい、ほんとうに昼夜問わずぶっ続けで誰かの手術シーンを眺めていた。なにせシーズン15で各25話ずつくらいある。全部で400時間弱だ。
今は、精神が不調なので、これはこれで『グレイズ・アナトミー』を観るにはぴったりのコンディションである。時に人は理不尽に痛みにぶつかる、ということを教えてくれる。病気は理不尽だし、事故も理不尽だし、死だって理不尽だ。人の命が救われるような奇跡だってあるけれど、その逆もある。
S15の最終話、自分はレイプ犯との間に生まれた子であるということを知り、心の傷を負うジョーの姿が描かれる。どうしようもなく鬱っぽくなり、仕事場に来て仕事はするけれどほとんど亡霊のような顔つき。自分が「必要とあれば仕事場にも来れるし、患者を診ることもできる」けれど「Not Okay」な状態であるということを認めることには時間がかかる。ようやく時間をかけてそれを認めると、「治療で心の傷は和らげていくことができる」と言ってくれる。「治療にアクセスすることを選べることこそが強さの証なのだ」と言ってくれる。どんなに心強いことだろう。
そういうわけでわたし自身も診断書を手に入れてきた。これをどうするかはまだ決めていないけど、とりあえず強さの証だな、と思っている。