雪風

itsok
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中学生の時、年末の国語の授業で「今年を表す漢字一文字を書きましょう」みたいなレポート(アンケート)があった。

同じクラスの人気な女の子がそれに、

風・・風が強かったから。

みたいな回答をしていて、当時「しゃらくせ〜」と思っていた。でもよく考えてみたら対する自分自身の一文字なんて書いた本人でさえ全く覚えておらず、完全にこちらの敗北である。彼女の風はクラスの隅っこにいた暗い男子の遠い未来まで揺らしているのだ…とまで書いてみて、うわ「しゃらくせ〜」と思う。そもそも女の子に「人気の」とか要らない修飾をしてしまってるところが余計しゃらくささを増幅させている。

今日の昼を過ぎたあたりから、東京では雪が降った。

夕方以降から交通機関に影響が出るだろうからと、職場の指示でいつもより早めに帰宅できることになった。外に出ると思いのほか雪はしっかり降っていて、風に乗って傘をたたきつけてきた。

最近仕事は呆れるくらいにルーティンワークとなっていて新しい作業はほとんどなく、それなのに着実に疲労は蓄積されていてきちんと白いため息が出る。もし今、急に「おい、なんか漢字一文字書けよ」と言われたら

雪・・雪が降っていたから

と半ば怒りのような感情で書き殴っていたかもしれない。雪が少し日常から逸脱させた帰り道を歩く。駅に着いた。傘についた雪を払ってふと、風が吹いた方角を振り返ってみる。

・・という風にかっこつけて実際に書いているのは電車の中で、また「しゃらくせ〜」と思う。