メモ 23/12/06 東京都現代美術館

ほ〜
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清澄白河の駅を出た所から参道。ここに住みたいんだけどどうすれば良いだろうか……!

美術館の外観から入り口、受付、展示の構造全部が良かった。人が少ないところも最高。夢のようだった。展示はアニュアル「シナジー、想像と生成」とコレクション「歩く、赴く、移動する 1923→2020」、「横尾忠則―水のように」、「生誕100年 サム・フランシス」。

アニュアルから見た。若手アーティスト達による表現の領域を広げる試み。どれも素晴らしかった。没入感を大事にした展示方法に美術館の真剣さが凄く伝わってくる。現代美術は当然普遍的でない表現だから理解するのに時間がかかるし、万人に共通の価値を与えられるとは限らないのに、そこに呼応して一定以上の価値を見出しどう人に見せるか考える立場の人(館)がある。それってすごい気がするぞ。私は真剣に向き合っても2%ぐらいしかわからないよ。鍛える筋肉があるんでしょうか。現代美術を見ると試験中に糖分が切れて視界が暗くなってくる感覚と同じになる。それが楽しい。

一番刺さったのはやんツーさんの「TEFCO vol.1 〜重力発電の夜明け〜」。バイク2台を吊り下げて、その重みで発電する。充電コードが繋げてあって、「"作品"を入れて持ち帰って下さい」とある。スマホを2%だけ充電した。重力からもらった電気。もう使っちゃったけど。面白いな~。

複数アーティストによる「四角が行く」も凄かった。コマ撮りクレイアニメのような映像が流れている、と思ったら、その下にリアルタイムで撮影している自動装置が置かれていた。衝撃的。盤の上で自動にプログラミングされていてルールに沿って動き続ける。こんなの思いつかないよ。

コレクション「歩く、赴く、移動する 1923→2020」は表題をキーワードに色々なアーティストの作品。鹿子木孟郎さんの震災スケッチが素朴で冷静なタッチだけど絶望だけじゃないどこか温かみのある雰囲気で良かった。戦後のルポルタージュ作品群も良かった。フォロワーさんに影響され読んでいる「帰らざる夏」でいま丁度東京が焼け野原になっているところなので臨場感があった。こんなにボロボロになった東京が立派に蘇ったんだなあ。胸が熱い。福田尚代さんの本を切ったり縫ったりした「本に刺繍」もちょっとビックリしたけど素敵。本は読むものだけど読んだ後には自分の記憶や感情が折り重なって本そのものが変容していく。私はそんな感じを受け取った。

「横尾忠則―水のように」は情報の大洪水だった。やっぱりすごい。自分の展覧会用に首をつった男の絵を描く。吊ったのではなく地球に吊り降ろされたのではないか、人間みなそのようなものかもしれない(意訳)と解説されていた。良い解釈だ。

「生誕100年 サム・フランシス」、この人は病気で寝たきりになった後に美術を学び始めたらしい。大きなキャンバスにアクリル絵の具で大胆に色を飛ばしていく絵柄。「本当は自分は飛んだり浮かんだりしていたいんだけど、重力というものが自分を縛っていてそれができない、絵を描くことはそれから開放される唯一の方法」だと書かれていた。縦方向にものすごい躍動感で伸びていく絵を見て一人ちょっと泣いたよね。絵って良いな。込められた気持ちを正確に理解するなんて不可能だけど、揺さぶられる感覚こそ幸せだ。こんな瞬間がまだまだあるなら長生きしたい。

どの作品を取ってもしばらく向き合って考え続けたいし時間が到底足りなかった。現代美術最高!また待ってろよ東京!

おわり

@ixbyetn2
散歩と人と創作 だいたい元気