快適な牢獄

izumiyama
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公開:2023/11/24

イオンは、僕の日常に刻まれた存在だ。全国どこに行っても、その大きな看板が目に飛び込んでくる。まるでビッグブラザーが僕を見守っているかのようだ。少し馬鹿にしていたけれど、気づけば僕の生活に欠かせない場所になっていた。

早朝の空気がまだひんやりしている時間から、夜の静寂が街を包む深夜まで、イオンはいつでも開いている。それはまるで、時間が止まったかのような安心感を与えてくれる。僕はよく、通勤途中に最寄り駅から直結するイオンに立ち寄る。朝の光が店内に差し込む中、午後の紅茶を手に取りながら、一日の始まりを感じる。

イオンの価格は驚くほど安い。ここで買い物をすると、お金を節約できると同時に、過去30年間で日本の賃金は約5%しか増加しておらず、OECD加盟国の平均35%の増加に比べてかなり低い伸び率であることを痛感させられる。まるで、安さの裏に潜む社会の皮肉を嘲笑うかのように。

そして、セルフレジの充実は特筆すべき点だ。いつも人が少なく、コンビニに行くよりも早く買い物が終わる。行列を避けたい僕にとって、これは大きな魅力だ。

イオンの中には、珍しいクラフトビールのコーナーもある。その多様な味わいは、日常から少しだけ非日常へと誘ってくれる。まるで、小さな冒険を楽しんでいるようだ。

さらに、イオンの株を100株持っているだけで、3%のキャッシュバックがある株主優待は、僕にとってお得な特典だ。買い物をする度に、投資している実感が湧く。配当もあるし、業績も好調なので、今のところ常に含み益もある。最高だ。

しかし、僕の中にはイオンに対する複雑な感情がある。金太郎飴みたいに全国どこにでもあるからこそ、ちょっと見下していた部分もある。でも、便利さには抗えない。毎日のように足を運んでいる自分がいる。

イオンは僕の日常に深く根ざしている。たまには他の店に行こうと思うけど、結局イオンの安心感に引き戻される。まるで、快適な牢獄のようだ。