自分探しがよくない理由

かとじゅん(j5ik2o)
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公開:2023/12/19

このようなツイートをしたので、自分探しがよくない理由を書いてみる。

「本当の自分」を探している自分は誰なのか

まずは養老先生の著作からヒントを得る。

結局、誰しも世間と折り合えない部分は出てきます。それで折り合えないところについては、ケンカすればいいのです。それで世間が勝つか、自分が勝つかはわかりません。でも、それでも残った自分が「本当の自分」のはずです

「本当の自分」は、徹底的に争ったあとにも残る。むしろ、そういう過程を経ないと見えてこないという面がある。最初から発見できるものでも、発揮できるものでもありません。

これは、自分自身と世間との間に存在する対立を受け入れ、それを通じて自己を理解し成長させることの価値を説いている。これは、個人が自分自身の真のアイデンティティを発見し、表現するための重要な過程だと。つまるところ、最初からわかるようなもんじゃないと。

本来は、人生はどうやって生きていけばいいか、といったことについての世間の基準、ものさしがあるべきなのに、それが揺らいでしまっている。そのくせ「個性を持て」だから、若い人がわけもわからず「自分探し」をしたがるというのが現状です。これは気の毒に思えます。

実際には、「本当の自分」なんて探す必要はありません。「本当の自分」がどこかに行ってしまっているとして、じゃあ、それを探している自分は誰なんだよ、という話です。

本当は若い人は未完成で当たり前なのです。二〇歳やそこらで、確固とした「本当の自分」なんてものが見つかるはずがない。

若い人が自分探しするのはある程度仕方がない部分がある。でも、論理的に考えてみると矛盾があることに気付かされる。「本当の自分」を探している自分は誰なのか?という問いに対する答えを、まず考えてみてもよい気がする。

自己に注目しすぎることはネガティブな思考に陥りやすい

鈴木祐さんの本から紹介。

  • 圧倒的な情報量から質の高い書籍を書かれているサイエンスライター

  • 16歳から年間5000本も科学論文読んでいる

  • すでに10万本の科学論文を読破

  • 600人を超える海外の学者や専門医へのインタビュー

マジで突き抜けてる人だ。やべえ。

自分に注目しすぎることはネガティブな思考に陥りやすい、とのこと。

事実、多くの先行研究では、自己にこだわる人ほどメンタルを壊しやすい傾向が何度も報告されてきました。専門的には「自己注目」と呼ばれる状態で、「私はダメな人間だ」や「私は失敗ばかりだ」などの否定的な思考が良くないのは当然として、「私はどんな人間なのだろう?」や「本当の自分らしく生きることができているだろうか?」といったように、理想の自己を思う時間が長い人も不安や抑鬱の症状を起こしやすいことがわかっています。

「自己注目」でメンタルを病むのは、自己にまつわる思考がネガティブな方向に向かいやすいからです。「同年代よりも私は年収が低い」と落ち込んだり、「1年前に私が起こした失敗さえなければ」と過去を悔やんだり、「私ばかり損をしている」と他人を恨んだりといった経験は誰にでもあるでしょう。ときには「私はよくやっている」と思うこともあるでしょうが、先にも見た通り、人間は生まれつきネガティブな思考システムを内蔵した生き物です。多かれ少なかれ自己に関する思考はマイナスの方向へ向かい、あなたに〝二の矢〟を放ち始める回数のほうが多くなります。

生まれつきのネガティブ思考というのは、大昔では生存のために役に立っていたが、今は国家が形成されたため不要になった。逆に上記のようなリスクを抱えているという話。「二の矢」とは仏教の概念のひとつで、想像で自己にダメージを負わせてしまうこと。メンタルが弱い人はできるだけ避けたほうがよさそう。

詳しいことは以下の本を読んでください。

自己とはなんだ?というのはいろいろあるんだけど、「自己=機能の集合体」だということがわかってきたらしい。自己を獲得したのが、25万年前から5万年前ごろだとされるので、後天的に獲得したもの。この本には「自己」は生存用のツールボックスという話もあってとても興味深い。鈴木さんの本は全部面白い。他の本も読んでみてほしい。

というわけで、自分に注目することは用法用量を守ろうということで。

@j5ik2o
歳をとっても霜降り肉!をモットーにしております