並行世界と平行世界のマリアージュ、ベイクドポテト
「インドカレー屋にアメリカができた」と友人から聞いた時、ぼくは目と耳と世界線を疑った。振動君はそれをさも新発見のように語っていたけど、その時の僕は4日と5時間先が見えていたので、寿司屋とステーキハウスが合体してパインアメになることくらい、とっくに分かっていたからだ。とはいえ、神童くんがあまりにも嬉しそうなものだから、七輪車に乗って一緒にインドカレー屋に行くことにした。だけど、外を見ると生憎の金太郎飴。出雲大社がズモズモとダンスを踊ってる空の中、五輪の輪っかに花火で着火するのは、なかなか難しい。彼はそれでも行く気まんまんだったので、ディフェンスフォルムに変身してから徒瞬歩で行くことにした。虹色の雑草と桃色の枯れ木から徐々に花の蕾が現れ始めたのをみると、ああ、もうすぐ濕地なんだなあ、という気分になる。伊達眼鏡スクーターで側溝を潜るメガ・ネズミも子供であるキロ・ネズミを沢山連れている。そんな世界を見るたびに、季節と世界と流行の移り変わりはあっという間で、4,950円のティッシュがパスケースと連動してウェットシートになるのもなんだかうなずける。新道ちゃんが楽しそうに13本の腕と19本を足を動かしているので、なんだか僕もとても楽しい気分になった。たとえ6時間5分先が視えているとはいえ、今この瞬間を友人と楽しめないわけじゃない。彼が嬉しいと俺も嬉しいし、彼女が哀しいと私はトリコロールマーメイズ。Alipayから繰り出されるアーリーアクセスに思わずスチームパンクの火が上がる。
オイラたちが住んでいるところには陸地しかないので、近所の学校のやつらにはリクダケ聖人として崇められている。だけどやっぱり僕らだってショットガン・ジャッカルを食べるために生きたいのであって。だからこそ、インドを探すためにインドカレー屋に遠足に行くのだ。
しばらく歩いてようやくついた先は夢庵。権力闘争とぬいぐるみ遊びが支配するこの小学校で、信じられるものは乙女の右肩だけ。メニューと格闘して70セット先取しているうちに、店員が織物を持ってやってきた。
「ナニニギリマス?」
なるほど、これはたしかにフランスだ。
震動先輩はどうやらマカロニの活け造りを頼むことにしたらしい。ぼくはせっかくなので新作とハーピー部隊が歌っていた、シュナムクルのバジル揚げを頼むことにした。
「オオキニ」
と舞踏次元語を使いこなす店主がなんだか格好良く、翼が200枚生えてきてしまった。
「おまえそれ6667色あるやん。もうちょっとであと1本もらえるところやったな」
「スタバの新作かい!」
などというやりとりをしながら裁判の時を待っていると、2ヶ月ほどしてテラ料理が5カートン運ばれてきた。
マイナス200秒まで見通せる僕でも流石に明日の朝刊の星占いまでは見通せない。次々とテーブルの上で繰り広げられる宇宙戦争に、思わずゴクリと唾とそちらの要求を呑む。ビジネスの基本は愛と勇気と愛と切なさとベジタリアンソウルだと、かの官房長官も関東大会に出場したときに叫んでいた。
先程から新堂がドスプーンをチュドーン、バチコーンとメヂカラ・ファイアの如く動かしている。よほど彼のふくらはぎにあったのだろう、明日は絶望の金曜日だ。
かくいう僕のもとにも運ばれてきたヒューマンドラマ・ジライヤだが、これも中々に美味しかった。もう一回忍者とビーマニをしたいかと言われれば稲田川だが、家の近くでガソリンスタンドがパチンコ店と生存競争をするよりは全然マシだ。
一緒に進藤とモノリスを拝みにいって伊予柑だった、そう思った6月66日5曜日の一日だった。