最近、クライアントから「初心者POが読むべき本のおすすめがあったら教えて」と頼まれることがありました。ちょうどよい機会なのでここにまとめておいておきます。選ぶにあたっての観点は以下のとおりです。
あくまで初心者プロダクトオーナーが対象
スクラムそのものについてはあまり重視しない(大事だけどキリがない)
POとしてまず知ってほしい考え方やスキルなどの基本を重視
プロダクトマネジメントに近い領域は敢えて置いておく(もちろん大事だけど、これもキリがない)
なお、これは私の独断と偏見なので他にもいろんな意見があることは勿論気づいています。
1冊目:スクラムを活用したアジャイルなプロダクト管理―顧客に愛される製品開発
140ページと軽量ながらもPOについて簡潔ながらもとてもよくまとまっている。POという役割、プロダクトを想像、PBLの使い方、リリース計画、スプリントでの協働、POとしての研鑽、と構成されている。これを読めばPOとして知っておくべきこと、学んでいくべきこと、実践していくべきことが網羅できるはず。
2冊目:アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~
POとしてプロダクトの価値を探求するための概念と技法にフォーカスされた本。アジャイルな計画とは何か、計画すべくどのように規模を見積もるのか、価値のためにどのように優先順位を考えるのか、それらを踏まえどのようにスケジュールを立てるのか、どのような方法で情報共有をしていくのか、どのようなケーススタディがあるのか。これらが全て備われば一人前のPOであるのは間違いない。
3冊目:ユーザーストーリーマッピング
タイトルのとおりユーザーストーリーマッピングという技法が主軸ではあるが、そこからUXデザインやアジャイル開発、プロダクトマネジメントに通じる心得へと拡がる。価値あるプロダクトを創出するための価値あるPBLを作りたいならPO必携と言ってもいい。ちなみに、著者であるJeff PattonのCSPOトレーニングはこの本のエッセンスがふんだんに盛り込まれ最高だった。
4冊目:More Effective Agile “ソフトウェアリーダー”になるための28の道標
5冊の中で最もPOそのものではなくアジャイルにフォーカスした本。アジャイルやスクラムについておすすめできる本は多数あるものの、今回の文脈で「より効果的」が強調されているので敢えて選んでみた。POとして効果性に重きを置いてアジャイルを捉え直すという意味では価値ある一冊。
5冊目:This is Lean 「リソース」にとらわれずチームを変える新時代のリーン・マネジメント
Leanはアジャイルへ影響を与えていることからもPOとして無縁ではない領域。スクラムそのものではないが、フロー効率を知ってほしい意図からこの本を選んだ。リソース効率のみに捉われずフロー効率に着目することでこの本の言う「効率性の完璧な状態」を目指すことは「アジャイルになる」ことに通じているはず。