メッセージカード

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メッセージカードを書くのが得意だ。

仕事の離職時、クリスマス、バレンタイン。メッセージカードをいくつも書いてきたと思う。

その中でも、高校の卒業の時のクラス全員での匿名のメッセージカード交換の時は、一軍女子たちがワイワイと私の書いたメッセージカードで喜び賑わっていた。

もちろん匿名なので誰のか分からない。誰々?○○ちゃん?○○ちゃん?と聞くその名前のうちに私の名前も入っていたが、私は素知らぬ振りをしたと思う。

そのメッセージカードには、ハリネズミやなんかの数種類の動物の枠の中に、その子その子の特徴を褒めたたえたメッセージを書いた。色もそれぞれ変えてカラフルにした。同じものはひとつとしてなかった。

私はみんなが騒いでくれて得意になったが、名前は明かさなかった。匿名の名の下で書かれたそれを明かしてしまうのはルール違反のような気がしたからだ。

それは、1クラス3年持ち上がりの仲良し英語科に途中から転科して、目立って虐められることも無く2年やっていけた、賢く華やかで慎み深い英語科の皆さんへのせめてものお礼だったのだ。

喜んでもらえたメッセージカードはそれが最後だったかもしれない。

その他はみんな私が書きたくて書いただけの、押しつけだった気もするからだ。

英語科に思いを馳せる。新校舎の奥、オーク色の大きな2つの扉、その中に私たちの秘密の楽園があった。

旧校舎の奥に佇むチャペルや、ピンクの外壁。

軋んで撓むマホガニーの木材の階段の上がってすぐ右の美術室。美術部の私は毎日そこに通っていた。

あぁ、なんと華々しい高校生活。

私のメッセージカードは、もう誰も持っていないだろう。