1つ前の話の最後で「解散前にライブ行きたかった」と書いた。それに関連する話で1つ、非常に印象に残るライブがあった。そのツアータイトルを冠した曲がこちら。
蒼翠炎雷 / M.S.S Project
読み方は「そうすいえんらい」である。本ツアー自体は全く解散ライブツアーでもなんでもなく、言ってしまえば至って普通の、区切りのいい周年記念ライブでもない、テーマとして「和風」と掲げられたライブツアーだ。では何故「解散前にライブ行きたかった」に関係するのかといえばこのライブのある公演のアンコール前ラストのMCとそこにつながるこの曲が非常に印象的だったからだ。
この人たち、バンドかと聞かれるとそうともいい切れず、ファンになった今でも「何してる人なの?」と聞かれるとどう答えていいかわからない謎すぎる愉快な四人(うち二人は人間かどうか怪しい外見をしている)のアラフォーからなるエンタメユニットである。テレビゲームを元気に実況していたと思えば実写で全力でふざけてCOOKINGしたりドッキリしかけたり慰安旅行なう!と言いながら生放送を試みたり案件では手慣れた対応を見せたりする。そんな彼らが主軸として展開するのエンタメの1つに「音楽」があるわけで、個人的にはここが1番好きまである。ので、音楽ユニットとして私は数えている。
それに加えて元から和風なものが好きだったのもあって「いやこれ今回行かないと絶対後悔するやつやん」というのと「乗りやすそうなライブ連れてって」という人がいたのでいくつか公演に行ったわけだ。日帰りで大阪まで行ってしまったことまである。ハマって数ヶ月の人間がやることじゃないと何度も言われたが本当にそうだと思う。テーマが和風じゃなかったらこうなってなかった自信しかない。すごいね!
というライブツアーだったわけだが、その中でメンバーの誕生日と被った日程に(一般的に言えば)FC一次先行枠で当選していた。被ってたのはあとから知ったがこれがなんと1番好きなメンバーの誕生日だった上に整理券番号めちゃめちゃ前だったので死ぬかと思った。実際始まると目の前だったので即死だったわけだが、そのライブのMCでこんな流れがあった。前後の記憶はもうだいぶ薄れているのだが、メインMCのメンバーがツボに入った直後、冷静に観客へこう切り出したのである。
「数年前、突然、当たり前に来るはずの明日が、来なくなりました」
崩れ落ちるかと思った。なんなら少し泣いた。数年前の私は新入社員目前。緊張もあったが家を出てやっと好き勝手出来る!!今年の夏はお金稼いでPENGUIN RESEARCHのライブ行くぞ!!来年はYON FESも行きたいな!!と決めていた矢先、まさに「当たり前に来るはずの明日が来なくなった」のだ。その後語られたのはメインMCの人のコロナ禍で解散したバンドや亡くなられた方のライブにもっと行っておけばよかったという後悔の念と、それを踏まえての「今日ここに来てくれてみんなはえらい」という感謝の言葉だった。
コロナ禍だし…で様々なライブ参加を半ば諦めていた自分の心に、もう一度火が灯った感覚があった。
なんならこのMC聞くまでは「もう少しコロナ収まるまではまたライブは見送ろう…」と思っていたまであった私の迷いは完全に何処かに消えていて、そのMCが終わるまでには「できうる感染症対策全部やって行きたかったライブ行こう」と考えられるまで思考回路がぐるりと回っていた。
蒼翠炎雷 燦然と 照らせ 照らせ 全てを照らせ
この時確かに、私は蒼翠炎雷に燦然と照らされたんだろうと感じながら。アンコールに向かうかのような、EDに向かっているのにまた会えるような感覚を覚える旋律に「行きたいライブ全部行こう」と決意しながら。
ちょっとだけ、財布の心配をした。