私がとあるゴタゴタによって初めてのTwitterアカウントを消してから数年後、久しぶりに作ったアカウントで、作りたての頃に知り合ったとある人がいた。
その人はVOCALOIDを使った曲を作って動画にしたいと話していた。それが出来そうなメンバーを集めていた。FF外でもOKという表記を見て、勇気を出して声をかけた。「MVに使える絵を描きたい」。あの当時、そんなに画力も高くはなく、加えてアナログでイラストを描いてそれをカメラに収めて色味を加工して上げるという手法をとっていたにもかかわらず、その人は快くメンバーに加えてくれた。もう10年は前の話である。
結局当時は人が集まりきらずにその話はいつの間にか消えていたけれど、その後も有り難いことに私はその人とは関わりが続いていた。そんな中、その人は──彼は、九州を拠点にバンド活動を始める。
そのバンドの名前はピカソフィッシュ。現在出しているすべての曲を配信し、MVを付けるなど、かなり精力的に活動している。
彼はそのバンドのベースだった。だった、と書いたのは昨年10月に脱退をしたからだ。脱退理由はネガティブなものではなかったけれど、それを知って悔しさがこみ上げた。
彼の演奏する姿を見に行きたかった。
また後悔が増えた。しかし自分は本州の東の方を適当にぶらつく人間で、彼らの拠点は九州。おいそれと簡単に行ける距離ではないため、仕方がない部分もある。しかも彼らがデビューした少しあとにコロナ禍もぶつかっている。仕方がない所が大部分を占めているとはいえ、曲が出るたびに自分ごとのように嬉しかった分、悔しさも大きかった。
曲が出て、MVが出るたびに。VOCALOID曲ではないけれども彼の夢が叶っているのを見て。嬉しくなってまた曲を聞いて。初めは彼がいるからと聞いていたのにいつの間にか「ピカソフィッシュだから」聞くようになっていた。その中で知った脱退だった。それでもピカソフィッシュは終わらなかった。ボーカルの方が新たにベースとドラム(の方も彼と同時期に脱退を決めていた)を呼び込み、新生ピカソフィッシュとして活動を始めた。
栞 / ピカソフィッシュ
この曲は、まだ彼がいた頃の曲だ。
どうか君よ 忘れないでいて ここにいた ここで見た奇跡を
ボーカルの方はきっと東上すると言ってくれた。その時私が行く機会があったとしたら、君はそこにいないけど。でもあの環の中にたしかに君はいて、その奇跡があったからこそライブで出会えたんだって。そう思って泣いてしまう気がする。
またいつか!どこかで会おうぜ!!