タイトルに平仮名でとうだいと書くと、東京大学と間違われそうなので、漢字である。
小学生の頃、片田舎みたいな、季節によっては馬糞の臭いにさらされる市立学校で過ごしていた。在学の6年間、クラス替えされても離してもらえずに、みっちりいじめてくる陰湿クソ男子とかいたが、それはまた別の機会にでも書こう。
たしか毎年のように芸術鑑賞会のようなものがあり、有志だかプロだかアマだか知らないが、外部から劇団やらオーケストラやらが体育館に招かれてパフォーマンスをしてくれる。
あるときは、演劇だった。月日が経ち過ぎたしストーリーこそ忘れてしまったが、主人公らしき男性(あるいは少年役)だったか、ヒロインなのかがふと、あるとぼけた印象の、もしかすると憎めない系悪役かもしれぬよくわからない役のおじさんに、
「君は、みんなを照らす、灯台なんだ!」という名ゼリフじみた言葉を放つシーンがあった。おじさんは、いたく感動し、その後、さまざまなシーンで脈絡もなく、「灯台のポーズ」をしながら、
「灯〜台ですッッ!」
と叫ぶものだから、その頓珍漢さに児童たちは爆笑し、劇が終わったあとも、しばらくその「灯台です」は、ポーズ付きで、子どもたちの間で一発ギャグとして一世を風靡した。
あのとき、主人公よりもずっとヒーローしてたおじさんは、もう亡くなっているかもしれないし、あるいは達者かもしれない。お元気だろうか。