私J.K.はいつかどこかで物書きになりたいという小さな夢を持っていまして、ふと気づいたこと、面白かったことをiphoneのメモに書き溜める癖があります。ipodとガラケーを使っていたころからの習慣ですから始めてからもう10年以上経過していることになります。だらだらと無味乾燥な短文が積み上がっていくだけの、学期末の机の引き出しの奥のような、そんな電子ゴミの集積です。
しかし学期末に机の奥でくしゃくしゃになった紙くずも時がたって開いてみれば面白いものです。交換されることのなかった交換日記や友人と作った暗号表、秘密基地の設計図など。だから今回は私のiphoneにたまった電子ゴミから一つ拾い上げて書かせていただきます。
「エロ漫画でシコってる時に思いついた。DVを受けている女を見かけたときに男をどうすべきかと考え、格闘技を始める。(原文ママ)」
これはあるエロ漫画を私自身が読んでいる時にふと思ったことを書いたものです。そのエロ漫画はチャラい彼氏からDVを受けている女に関係を迫られたひ弱主人公が、その女とセックスをし、その中で愛を感じるというもの。セックスした後に彼氏が乗り込んできて修羅場になり、主人公が、女に暴力を振ろうとした彼氏の後頭部を殴りつけ昏倒させるところで終わります。このシーンを読んでいて思いついた文章です。セックスしただけで勘違いする男と肉体関係がないと不安になる女の組み合わせの"終わってる感"がお気に入りです。
さて、例えば主人公の暴力に正当防衛が成立するとして、そこまでの過程にはかくかくしかじかあります。具体的には警察に事情を説明し、最悪の場合裁判が行われ、無罪を勝ち取るという一連の流れ。ドラマや小説の中ではそれ自体がハッピーエンドとして描かれることもありますが、一般人目線からすれば「だるい」の一言です。
だからこれ自体が何らかの作品のタネにならないかと考えたのです。だるいことを回避する、そこにはなんらかの原動力が潜んでいます。そして私は主人公、おそらく思春期の中学1年生男子が、同じ作品を読んで行動を変えるとすればどう動くかを想像してみました。その結果、生まれたのがあの文章なのです。
「もしもかっこよくその場を切り抜けることが出来たなら?疑う必要もないくらいの正義としての選択肢を取れるなら?一番なりたい自分に近い姿はどんなだ?……よし、格闘技を始めよう」
それっぽい言葉の裏にどこか未熟な性欲が隠れている。それに直面し悩み暴走し、答えを出すその過程を描く。そういうことが出来そうだなと思ったのでした。作品にしなかったのでおわり。
これこそが大賢者タイムの力。