「始原の竜、闇の炎の子……汝の名は──バハムート!」
この詠唱で上がれない奴いる?いねえよなぁ!!?
以下蛇足
とりあえずこのゲームでおおっぴらに感想を語りたくなる部分はプレイしたと判断して筆を執りました。
まず最初にサイゲームスはUI作るの上手ですよね。メニュー画面はいわずもがな、直感に合致したキャラクター操作とそれに対するユーザーへの感覚的なフィードバックがとてもうまい。具体的にはスキル発動やジャストアクションの音、攻撃時のヒットストップなど。ゲームで、特に今回はアクションゲームでユーザーが求めてるものを丁寧に作ってくる。
操作キャラクター、私はパーシヴァルを選択したのですがジャストアクションが気持ちよすぎた。スキル発動後に攻撃を溜め、相手の攻撃に合わせてブッ放す。ジャストアクション成功のキュピーンッ!という音と共に無敵になる。超☆エキサイティンッ!
キャラ操作の中毒性が高いからストーリーを進めたくなる。キャラを育てたくなる。ゲームをやめるとゲームのことばかり考えてしまう。そうだね、依存症だね。
丁寧にユーザーの体験をベースに作られてるゲームは、頭で「あれやりたい!」ってなる前に指がキャラクターを動かしてるんですよ。意味もなくスキル振ったりぴょんぴょん跳ねたり。誰しも経験あるでしょ?
そうやってると気づいたらキャラクターがほとんど自分の手足になってる。私も最初は溜め動作が長すぎてストレスに感じたパーさんだったけど、操作に慣れてくると自然に愛着が湧いてきて好きになっちゃった。
加えてこれは本当に蛇足ですけど、パーさんが私の大好きな「攻撃重めの片手剣士」だったんですよ。ありがちな「軽くて扱いやすい」イメージの片手剣は、重いはずの鋼の剣をブンブン振り回してて個人的に直感に反するなぁと。そのタイプの片手剣は一撃の威力が小さいため、いかに攻撃を止めずに殴り続けられるかというゲームになりがち。ヒットストップも小さめで殴ってる感が足りない。一方、パーさんはヒットストップがドデカい攻撃を敵の攻撃に合わせて丁寧に振っていく。ダクソの大剣やアイスボーンの片手剣に近い感触がある。最高です。
話は逸れましたがそんなこんなでパーシヴァルを動かしたくてメインストーリーを進めてました。
メインストーリー、最も目を見張るのは演出ですね。私の理解だとキャラクターの心情の転回を楽しむゲームではなく、グランブルーファンタジーの空に対する憧れをめいっぱい体験するゲームって感じ。我らが飛空艇グランサイファーで敵艇に突撃したり、みんな大好きバハムートの必殺技"レギンレイヴ"をブッ放したり。あるいは新たな街へ到着した時に人の営みが見えたり、他の飛空艇が街のまわりを飛んでいたり。ff12にそっくりだって?まあまあいいじゃない楽しければ。
飛空艇まわりで言うなら私が地味に好きなのは、各章の終わりに入る空飛ぶ飛空艇を引きで眺めながらの主人公の語り。本編の10倍増しで詩的な表現をしてくる。彼らの冒険は飛空艇と共にあるんだなあとしみじみ感じさせられる演出で好きです。
「キャラクターの心情の転回を楽しむゲームではなく」と書きました。ひとつ次回作に期待だと感じた点はキャラクターの精細な描写が少ないことですかね。個人的にゲームのストーリーを楽しむ視点が2通りあります。ひとつはミステリーのような"謎が解けた爽快感"を求める視点、もうひとつは"世界観に浸る"視点。リリンクは主に後者がメインのストーリー展開なんですが、どうにも「バスガイドと旅行者」感が拭えなくて。メインストーリーのほぼ全ては重要人物"便利屋"の指揮のもとに進む。主人公一行はそれに従って動く。特に諍いが起こることはなく。王道っちゃ王道ではあるんですけどせっかくいいキャラクター作ってあるんだからもっと活かしてほしかった。
特に強く思ったのはある街のギャングの手下数人にお使いまわりさせられた時。便利屋がギャングの手下に「仕事手伝うから片付いたら頭領と会わせてほしい」と交渉するのですが、この後に街中を走り回ってモブから仕事を受けるフェーズに入る。その仕事は猫探しだったり盗み聞きだったり。……いやこのフェーズいる?
どうせなら一緒にいるキャラが活きる展開にしてほしかったなぁ。酒好き陽キャの同乗者オイゲンが酒場にふらっと消えて探しに行ったらすでに仲良くなってるとか、堅物のカタリナが街中で不審なギャングの手下を見つけて尾行するとか。そういうキャラクターの営みの中で街を散策するのが個人的なゲームの楽しみのひとつなのでちょっと寂しかった。あ、戦闘中のキャラ同士のやりとりはめっちゃよい。そういうのだよそういうの。
ストーリー展開以外にも描写の精細さに欠けると思った点はあります。街中を行くモブと会話ができなかったり必要最低限のショップ以外は買い物できなかったり。街中のキャラの情報量の少なさが目につく一方で、落ちてる紙切れは文章量がしっかりあったり、サブクエストが街中にランダムポップするため走り回るのを強制されたりと、"やらされ感"のある情報は豊富な感じも。頑張って作った街を見せたいのはわかるけど、私が見たいのはキャラの目を通して見る世界観であって建造物や資料集じゃないって。ゲームでやるからにはキャラとのやり取りに落とし込んで欲しい。つかサブクエストに関してはクエストカウンター仕事しろよ。
UIまわりはユーザーの視点に立って考えられるのに、世界観の魅せ方はソシャゲ感が抜けてないのがとてもサイゲらしいと個人的には感じる。買い切りゲーなんてやりたいとこだけやったらユーザーは去ってくんだから「別にやらなくてもいいけどやりたい人がやりたくなるような要素」を街中に散りばめてほしい。
わざわざこう書くのはサイゲならできるってガチで思う要素があったから。その名はフェイトエピソード。まだパーシヴァルのやつ読んだだけだけど新たな街でのパーシヴァルの行動や思想、住民とのやりとりがめちゃくちゃ丁寧に描写されてる。メインストーリーは塩ラーメンくらい個性薄味なのに、フェイトエピソードではニンニクマシマシ二郎系特濃キャラクターが見られる。キャラに合わせた哲学を用意してるのめっちゃいい。
ただフェイトエピソードの難点はほぼほぼテキストベースの進行なこと。いやいやいや原作を踏襲したのかもだけど、せっかくRPGにしたんだからそれこそ街中を歩き回らせようよ。製作コスト高いなら操作キャラ団長固定でパーシヴァルの1日を酒場で聞くとかでもいいからさ。どうしてクエストカウンターで受けられちゃう朗読劇にしちゃったの。開発さんちゃんと街中を散策してるキャラクター配置してるじゃん、それ活かそうよ。
ちょっと気になってサイゲのコンシューマーゲー歴を調べてみたら処女作が2015年っぽい?結構歴史は浅めなんですね。3DアクションRPGは今作が初の様子(私が期待しているproject awakeningはもはや出ないゲームになってる)。だとするならリリンクはこの上ない出来だと思う。アクション◎かつシナリオライターはシナリオちゃんと書けるのがわかる。シナリオをどうRPGに落とし込んでいくかが課題か。そのあたりが洗練されればめっちゃおもろい世界観ゲーが出る気がする。
総評: キャラの描き方や世界の魅せ方にややソシャゲ感が残るものの、世界観はばっちり作りこんでありド派手で爽快な演出と共にグランサイファーでの旅を楽しめる。アクション面はキャラクターの操作が超気持ち良く高難度も用意されてるため◎。サイゲームスの3DアクションRPG処女作としてはこの上ない出来で、原作グラブルをあまり知らない人にもおすすめ。
結構長くなっちゃった。いいゲームな証拠だね。おすすめです。
残るはマゾ向け高難度、頑張ります。
以上