レオナルドダヴィンチに救われた話

joejack
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絵の上手い人は絵が上手い。

当たり前のことだが上手くない人間にとってそれは羨ましいし、羨ましく思う自分に自己嫌悪したりしてしまう。

スランプも長いある時、友人たちと見に行った美術展にレオナルドダヴィンチの発明コーナーが併設されていて、これがなかなか面白かった。何が面白いかというと見た目がかっこいい。失敗してる発明品も機能はともかく見た目はかっこいい。

やはりレオナルドダヴィンチは絵が上手く頭がよく、デザインまでできる天才なんだなあ、と模型の前に群がる人々を横目にしみじみする。そのまま進むと展示の出口付近にラフスケッチがいくつか拡大印刷で掲示されていた。

それらも発明品の設計図や草案だった。フリーハンドで描かれた完成予想図はラフでも美しい。天才はいいよな、と今度は苦々しい気持ちになった。絵を描くものとしては羨ましい。羨ましく思う自分の小ささが嫌だ。

俯きがちに外に出ようとすると、スケッチの端に車輪が描かれているのを見つけた。車輪の円は、円とわかるがかなり歪んでいて中心点もだいぶズレていた。

途端にめちゃくちゃ元気になってウキウキで美術館を出て家に帰った。あのくらいならわたしでも描ける。

わたしは小さい人間だが天才と同じような円が描けるし、天才もラフに描いたら円は歪むし中心はズレる。

わたしも死ぬまでにはワンチャンネコチャンハムチャン、天才になれるのかもしれない。そう思うと最高にハッピーになった。