1年間の振り返り
はじめは、妻の人生の中でやりたかったチャレンジと、自分の中で家族のフェーズが変わる前にやりたかった世界旅行。この2つが重なったことによる、2人の人生の選択だった。
妻は日本の仕事を辞めて、1人で3ヶ月、フィリピンの誰も知らない山奥に篭って英語を学んだ。私はその前に(親孝行?)母と1週間、ラオス・ベトナムの2人旅をしてきた。2人で合流したのはシンガポールで、そこで新婚旅行と銘打って(何回目の新婚旅行だって話だけど)、そのままパースのロットネストアイランドにも行った。
はじまりから、オーストラリアの動物の魅力に取り憑かれた。昼間は人でごった返すロットネストアイランドも、夜には自然に溶け込んで、人よりもクオッカの数の方が多くなる。こんなに動物たちに囲まれて自然を感じることは、東京で暮らしていると味わえなかった感覚。
脱線したけど、私は仕事を継続して、オーストラリアからリモートワークをさせてもらった。時短勤務もさせてもらったし、色々とわがままを通してもらって本当に感謝しかない。はじめは自分も辞める覚悟でオーストラリアでの生活を選んだけど、今でも同じ会社で働けてる。会社のおかげだし、今の会社よりもいい会社をオーストラリアでは見つけられなかったのもある。
せっかくならオーストラリアの会社で働けばいいとも、はじめは思ってた。でもぶっちゃけ、給与(それも円安によるもの)以上に魅力的で楽しそうな会社は見つけられなかった。(日本でもカジュアル面談を30社以上して、業務委託していた今の会社よりもいい会社は見つけられなかった)
確かに経験としては少しやっておきたかった気持ちもある。でも、会社で環境を変えるよりも、住む環境や新しい出会い、ライフスタイルの変化で満たされた部分が大きかったのかもしれない。もしあと5年くらいオーストラリアにいられるなら、物価を理由に会社を変えることをもっとリアルに考えたかもしれない。けど、ビザと私たちのライフスタイルの選択で日本に帰ることが決まってからは、その選択肢は捨てた。将来のことはわからないけど、今はそういう意思決定をした。
いられるならもっといたかったというのは本音。でも、1年という時間の制約の中では、めいっぱいいい時間を過ごせたと自信を持って言える。
はじめは、海外で生活することの解像度を上げて、自分がどう感じるのか、どういう選択を取りたくなるのかとか、今までの人生とコンテキストが異なる環境や人に触れることで人生を豊かにするとか、今よりも英語を話せるようになるかなとか、少しでも面白いことができて、それに胸を張れる状態になるかなとか、そんなことを考えてた。
終わってみると、思ったよりも英語は話せてないし、思ったよりも考え方は変わらなかった。けど、人生における素敵な道草だったなあと心から言える。
道草が人生を豊かにすると信じてる。ジンが言ってたから。笑

いや、そうではなく。できたばかりの研究室で神経科学を勉強しに大学院に行ったのも、ヒッチハイクで日本一周したのも、スタートアップの副業をしながら自分の会社を作って、GWも年末年始もアプリを開発してたのも、直接的に何か大きな成果として、自己成長やキャリアアップにつながるようなことではなかった。でも、そういう自分の胸に深く刻まれた経験が、自分の人生を豊かにしてくれている。オーストラリアの生活もきっとそう。
オーストラリアの生活は、自分を直接大きく変えるものだったり、何か大きな成果だったりするわけではない。けど、夫婦2人で異国の地に住んだ経験、そこでできたかけがえのない友達(最後は空港まで来てくれたり、シドニーからメルボルンまで会いに来てくれたり)、大好きになったもの(ウォンバットには何回会いに行ったかわからないし、最後はウォンバットのための旅も決行された。カモノハシもハリモグラも)もたくさんある。
How are you? のスモールトーク文化が好き
ローコンテキストで多様なカルチャーが面白い
先住民と国の成り立ちの歴史も興味深い
自信がなさげな人が少なく、胸を張って根拠のない自信の中で生きてる
日本だけが選択肢じゃない。けど、日本のメシが最高
旅のスタンスの変化。観光地のスタンプラリーはもう終わり。オペラハウスやハーバーブリッジ、ボンダイビーチみたいなわかりやすいランドマークより、自分の好きを探したい(フェザーデール、ディギー、ブルーマウンテンのサウナ、ゴールデンシネマ)
今しかできないことがたくさんできたかな。DIE WITH ZERO的な感覚は身についたかもな。お金は使ったけど、人生を豊かにする経験はたくさん得られた。
カンファレンスやミートアップで、知らない人、しかもコンテキストが違う人と話す機会も、大人になってこんなにないなってくらいあった。疲れるけど面白かった。最後までMPが消費される感覚はなくならなかったけど、カンファレンスに登壇した人に人生相談したり、ミートアップで会った人がアニメの呪術廻戦の作画をしてたり、マーベルのVFXを作ってる人がいたり、学生時代に日本語を勉強してて今も街で日本人を見かけたら話しかけちゃう人とか、日本が好きで剣道を始めた人とか、エンジニアとして音楽の事業で起業しながら日本食レストランでも働いてる人とか。きっと普通に働いてたら出会わなかった。
たくさんのお土産を胸に持って帰れた1年間だった。道草を楽しんだよ。大いにな。