クライストチャーチを離れて、オークランドに移った。着いてみたら街の見覚えはほとんど皆無でかなり開発が進んでいた。久しぶりの街の栄え方にシドニーを思い出す懐かしさで少しテンションが上がった。シドニーの友達がオークランドのことを「ダーリンハーバーみたいなハーバーもあるし、大きな橋もあるし、タワーもあるスモールシドニー」と話していて、一部からはスモールシドニーと呼ばれているのがすごくわかる。入江をフェリーで向かいの島に渡る感じまでそっくりだった。
世界一のラムとの10年ぶりの再会
10年前、大学生のときに友人と1ヶ月かけてニュージーランドを車で縦断した。オークランドでめっちゃ印象に残っている思い出が、死ぬほどうまかったラム。カジノでめちゃくちゃ負けたのに、それでもあのラムをもう一度食べようと言って、最終日にまた食べに行ったのをよく覚えている。
今回、その店にもう一度行ってみた。前に食べた肉塊みたいなメニューはなかったので、ラムチョップにした。10年前より舌が肥えているから大丈夫かなと思っていたけど、相変わらず個人的世界1位だった。レアなところに臭みはないのに、ラム独特の旨味、心地いいケモノ感みたいなものはちゃんとある。あまりにうまくて、お会計のときに思わず「10年前に来て、ここにまた来たかったんだ。ここのラムが世界一だ」と店員さんに伝えていた。店員さんがちょっと嬉しそうにしてくれてこっちも嬉しかった。

自分が足を踏み入れた土地に10年ぶりに戻ると、変わったものと変わらないものを自分の感覚で確かめられる。やっぱり思い出には複利が効くんだなと思った。
湖畔サウナでブラックスワンと整う
湖畔のサウナに行った。薪で温めるトレーラーサウナで、サウナそのものが飛び抜けてすごいわけではない。でもオーストラリア産のアロマオイルが心地よくて、何よりそのまま湖に飛び込めるのが最高だった。体感18〜19度くらいの水は冷たすぎず、少し波に揺られながらぷかぷか浮いていられる。流されないように気をつけながらふと隣を見ると、ブラックスワンがいた。ブラックスワンと一緒に揺られている。何だ、この体験は。

一人で来ている人も多くて、水温や何回目の参加かなんていう軽いスモールトークも楽しかった。気さくなオーナーとは、まさかのバイブコーディング談義に。「アイデアさえあれば何でも作れる。魔法みたいな世界で楽しい」という話を聞いて、こいつ気が合うなと思った。サウナに入りに来ただけなのに、思いもよらない接点が生まれる。
こういう体験をすると、コミュニティにお金を払って参加する意味を考える。施設の利用料というだけじゃなく、偶然の出会いにアクセスするためのお金でもあるんだと思う。ただ、ネイティブ同士で盛り上がっている輪にはめちゃくちゃ積極的には自分から入っていけなかった。英語力の問題もあるけど、それだけじゃなくて、相手に興味を持ってこの時間を少しでもいいものにしようというホスピタリティが足りないんだと思う。自己認知。
鳥天国、ティリティリ・マタンギ島
朝、起きたら家を出る3分前だった。急いで港へ向かったのは、オークランドからフェリーで80分の島、ティリティリ・マタンギ島に行く日だったから。おまけに一番肝心の中望遠レンズを忘れて、その時点で写真は半分あきらめた。さらに、30分前集合だからと7時半に着いたら誰もいない。見返したら8時半出発・8時集合で、集合時間からさらに30分引いてしまっていた。事前にAIで組んでいたスケジュールには、ちゃんと正しい時間が書いてあった。最後に自分で確認しなかっただけだった。
それでも島はすごくよかった。ベルバード、ケレル、トゥイ、コカコと、至るところにニュージーランド固有の鳥がいる。ところどころにレンジャーが管理している餌場があって、そこにいるだけで固有種の半分くらいは見られるんじゃないかというくらい鳥が湧いてくる。ちょっとしたアドベンチャー感と、ポケモンみたいに新しい生き物を見つけていく高揚感があった。

唯一見つけられなかったのがタカヘ。70年くらい前に一度絶滅したと思われていた鳥で、頑張って探したけど、プケコという鳥と顔がまったく同じ。違いは飛べるかどうかくらいで、判別できるわけがなかった。
驚いたのは、AIに組んでもらったスケジュールが、鳥を探しながらゆっくり歩く私のペースとほぼ一致していたこと。こいつマジで精度高いなと思った。
頂上から見た海はめちゃくちゃきれいで、イルカのヒレだけ見えた。目を凝らすとスカイタワーが見えるくらいの距離なのに、この自然。シドニーでいうブルーマウンテンみたいな位置づけで、手軽に行けるのが最高だった。