言葉を尽くす

あみ
·

先日お笑いの友達から、彼女が別の友達とご飯に行った時に「あみちゃんは"語彙力が無い"という表現で片付けず、いつも言葉を尽くしていて凄い」という話題になったと教えてもらった。私が何より大事にしていることを褒めてもらえて、めちゃくちゃ嬉しかった。

言葉や文章に対する姿勢は、子供の頃からかなり前のめりだったように思う。

新学期に新しい国語の教科書を貰うとその日のうちにとりあえず全部読んでいたし、小学生の頃は友達と登下校中に口頭でリレー小説を作ったりしていた。幼稚園年長の時に喘息で2週間入院したのだが、退院祝いに貰った漢字の本をボロボロになるまで読み倒した。(流石に退院祝いが漢字の本だけという訳ではなくて、ちゃんとハム太郎のドールハウスも貰った)そんな事もあって漢字にハマった結果、小学6年生の時に漢検2級を取った。自分の人生においてこれはかなり自信になったし、自慢でもある。

中学生になってからはいよいよ本格的に数学と仲良くなれなくなったので、代わりに国語の勉強を頑張った。数学が大の苦手だったおかげで相対的に国語のことを更に好きになれたので、一周回って数学にも感謝している。

高3の時に選択科目で取った「国語表現」という授業が凄く楽しかった。ちょっとした小論文を読んでそれについてグループでディベートして、そこでまとまった自分の意見を小論文に書く、みたいなことを毎回していた。誰かと意見を交わして、自分の意見を言葉にまとめるという行為に魅力を感じたきっかけがこの授業だった。

大学も迷わず文学部に進んだ。"文芸・思想専修"という一見何を学ぶのかよく分からない学科名通り、ジャンルを問わず色々な作品に講義を通じて触れまくった。作品の感想を書いたり、皆と話したりすることで単位がもらえるなんて、私にとっては天国のような空間だった。この頃お笑いライブにも通い始めたので、ライブのレポや感想もとにかく記憶の限り全てはTwitterに書き尽くしていた。

言葉を扱う仕事をしたくて国語の教科書会社を第1志望にしたものの、一次選考で儚く散った。結局最終面接まで1番肩肘張らずに臨めた、今の会社に就職することになった。最初こそちょっとだけ挫折の気分だったけど、メガネ屋という職業は思った以上に言葉を武器にする仕事だった。

お客様の言葉からどんな要望を抱えているのか汲み取り、それを叶える方法を分かりやすく伝えて満足して頂く。そういう"言葉のラリー"の繰り返しで成り立っている。会社の細かい部分に思うところはあるけれど、思わぬ形で言葉をフル活用しながら働けているので、私はこの仕事に結構誇りを持っている。

漫才師もまさに「言葉」を武器にする職業だから、長年こんなにも惹かれるんだろうなと思う。

凄く心を突き動かされる漫才に出会った時って、ただの「お笑い好き」だけじゃなくて「言葉好き」としての感情も1個乗っかって突き動かされている気がする。

だからこそ、自分も言葉を発信する時はきちんと責任と魂を込めていきたいと常日頃思う。誤解を招きたくないとか炎上を避けたいとかそういう気持ちも多少はあるけど、何より単純にそうやって言葉を精査して尽くしていく作業がめちゃくちゃ楽しいから。(その割に結構な頻度で誤字脱字をしているのは、ひとえに私のうっかりの致す所だ)

「語彙力が無い」だけで片付けちゃうには勿体ないくらい、この世界には楽しくて美しくて面白いことが多過ぎる。

そうやって私が人生の大半において楽しんできた作業を「私の良いところ」として拾い上げてくれる人がいるのが、本当に嬉しい。得てしてそう思ってくれる人もまた素晴らしく言葉を尽くす人だから、その人の言葉に触れたり一緒に話したりするのが楽しくて仕方ない。好きな人達の言葉を取りこぼしたくなくて、私はTwitterのタイムラインを極力全て遡って見ている。

児島さんがゲスト出演したゴールデンラジオを昨日やっと聴いた。憧れの存在・大竹まことさんを目の前にして、業界人としてもお笑いファンとしても全く隙の無いトークを繰り広げる児島さんはやっぱりかっこよ過ぎた。

言葉の一つ一つが洗練されていて、重みがあって、それでいて親しみやすい。

私が目指している言葉の尽くし方そのものがあのトークに詰まっていた。

こんな風に言葉をこねくり回すこと自体が大好きな私だけど、せっかくならそれを誰かに聞いてもらいたいとももちろん思っている。だから興味を持ってもらえるように、感想ツイートには何か目立つ"キーワード"を入れるようにしている。実はこれはトンツカタン森本さんが昔よくやっていた「『』ツイート」を参考にしている。もう森本さんはあまり『』を使っていないけど、そのまま真似するのは何となくパクってる気がして代わりに" "とかをよく使っている。

ちなみに私と付き合いの長いお笑いにはあまり詳しくない友達にまんじゅうのことをプレゼンする時、興味を引くキーワードとして大体この一言を添える。

『背の高い方が年下なんだよ』

この言葉だけで、私の趣味嗜好を心得ている友達は大体ニッコリしてくれる。ニッコリしてもらえたら私は安心して、心置きなく彼らに対して言葉を尽くせる。

@ju_jitsuyasai
ハイパーMAXXXX自己開示