W5 2024.1.29 - 2.4 『哀れなるものたち』- 月初は気持ちを新たにするチャンス

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1月が終わった。毎年年明けは気持ちを新たに張り切るけれど、なんだかんだと慌ただしい三が日+αで疲れてしまって、しばらくだらけるというのがパターンだ。

1月は7本の映画を観て、4冊の本を読み、123.8km走った。もう少し個人開発を頑張りたいところだった。ちょっとつまづいたなーと感じた1月の雰囲気を月初のタイミングで切り替えていこう。

毎日コードを書いて、週に1,2本の映画を観て、1,2冊の本を読んで、週末にフットボールがあれば幸せだと常々思っているのだが、今月はついにJリーグが開幕するので、それらが揃う。

今週は麻婆豆腐を作ったり、翌日に余った豚ひき肉でボロネーゼを作ったり、それに合わせてひよこ豆と野菜のスパイス煮を作ったりした。家から少し離れたところに好きなイタリアン惣菜の店があって、そこに置いてありそうな料理を作るというのが最近の自分の中での流行りだ。ひよこ豆と野菜のスパイス煮はその意味ではなかなか良い出来だった。あの店に置いてありそうだ。

アジアカップは決勝トーナメントからは全てのゲームを観ている。日本は残念ながらベスト8で敗退してしまった。結構ショックで、深酒をしたり深夜にペヤングを食べたりして翌日(これを書いている日曜日)はほとんど寝て過ごしてしまった。

日本は残念だったけれど、アジアカップはやっぱり面白い。アジアカップというか、国際大会の中継が好きだ。W杯でもそうだけれど、国ごとに観客の特徴が違って、応援の雰囲気も違っている様子を見るのが楽しい。それでいて、試合の局面局面の反応はどこの国の人も似てるんだなーとか感じられるのがなんだか嬉しい。

今週は5kmを5回で25km走った。今まではその日の体調と気分で10kmだったり7kmだったり5kmだったりを走っていたのだけれど、しばらくは毎回5kmでをゆっくり走るのを試してみようと思っている。

『ザ・モーニングショー』S2は3話まで観た。S1に比べてちょっとテンションが下がってしまった感がある。

今週は『桐島、部活やめるってよ』を読んでいたのだが、その作中に出てくるチャットモンチーを聴く女子生徒の独白が良くて、久しぶりにチャットモンチーを聴いていた。"えっちゃんがソーダの泡みたいな声で歌い出す"という一文を読んだら、頭の中でチャットモンチーが流れ出した。

チャットモンチーの楽曲では『ツマサキ』が好きだ。

映画『哀れなるものたち』

圧倒された。

印象的だったのは一つのシークエンスの中で複数の種類のレンズを使ったり、やたらとズームを使用するカメラワークだ。かなり不自然な映像だと思うのだけれど、不快さはなく、かえって引き込まれるような感覚があったのが不思議だった。上手いの一言では済ませられないと思うのだが、自分にそれ以上の言葉がないのが残念だ。

幼児の脳と大人の身体を合わせ持ったエマ・ストーン演じるベラが、急速に成長していくストーリーなのだが、ベラに対する周囲の男性達の目線を通すことでセクシュアリティと社会的制約の問題が浮き彫りになる。テーマは女性の自由だと思うのだが、正直なところ自分自身にもこれまでの価値観や言動に後ろめたさを感じてしまう部分があった。

知識をどんどん吸収していくベラに対して彼女が読んでいる本を2回も海に投げ捨て「お前のかわいい喋り方が失われていく!」と言い放ったマーク・ラファロが演じるダンカンのセリフに、女性に対する男性の視点・偏見が詰め込まれていたと思う。

でも、箱庭のようなラストシーンでは、支配から逃れたベラ自身が他者を支配してしまっているところにディストピアを感じたし、あのラストシーンの意図を汲み取るのが難しい。どういうことだったんだろう。

それにしても、思考が幼児の状態からどんどん成熟した考えを持つ大人へと成長していく様を演じたエマ・ストーンの演技が素晴らしかった。衣装もとても素敵だった。

それと、タイトル含めて全体で使用されているフォントがパブロ・フェロの手書きフォントっぽくて(というかそのものかも)良かった。また、パンフレットやポスターで使われる日本語版のタイトルワークがその雰囲気を壊さずに作っているのもとても良かった。

朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』

先週、しばらくは朝井リョウを読んでいくと決めたのでデビュー作から。映画の方は劇場公開時に観ている。

地方の高校を舞台に、桐島というバレー部の生徒が部活に来なくなった時期の数日間を複数の同級生の目線から描いたオムニバス形式。多分、この作品が出された少し前から「スクールカースト」という言葉が日本国内で多く使われるようになったのだったと思う。

生徒達は、”上”になろうと思って行動をするわけでもないし、もちろん”下”になろうとするわけでもない。それぞれがグループから外れて孤立することを忌避した結果、好みや考えが似た生徒同士がグループとなり、活動的で運動が出来たり見た目が良いとされるもの達を”上”、比較的大人しく、ファッションなどにはあまり興味がない目立ちづらいもの達が”下”と認識され、その”上下”関係がカースト制度に見立てられている。つまり、意図的に作られた上下関係ではないので、それを解消するのは難しいし、"上"であろうと"下"であろうと窮屈さを感じながら生活をしている。

本作内では”上”とされる人物も”下”とされる人物も、この暗黙のカーストに対して息苦しさを感じている様子が描き出されているが、どちらかと言えば”下”とされる生徒の方が、ある意味で”上下”に対する諦めがあり、そことは関わりがない自己表現に自らを解放できている。むしろ、”上”とされている生徒達の方がその”上下”に囚われて窮屈さを感じてしまっていて、"上"である方が不幸を被っているように感じられる。

タイトルに"桐島"をつけていながら、桐島本人の語りはないタイトルと作品本体のバランスの妙や、スクールカーストを"下"とされるものが不幸であると安易に決めつけない視点などとても面白かった。

文庫版で追加収録された「東原かすみ〜14歳」では、かすみが周囲の価値観を気にせず自分の好きなものは好きというと決心するくだりは、この作品に追加するものとして素晴らしいなと思った。そのかすみの決心と今週観た『哀れなるものたち』のベラの真っ直ぐさに同じものを感じて、今週も読書と映画鑑賞がうまくリンクしたなーとか思っていた。

桐島の映画ももう一度観てみよう。次は『チア男子!!』を読む。

来週

来週は雪が降るらしいので、不活発になってしまいそうだ。

  • オラファー・エリアソン展にいく

  • 『違う惑星の変な恋人』『彼方のうた』『ゴースト・トロピック』『Here』の中からどれか一本観にいく

  • 小説以外も読む

  • 今週作った麻婆豆腐がいまいちだったので再チャレンジする

  • あとは雪次第

この週記を書くようになってから、SNSと程よく距離が取れていていい感じだ。シェアしたりはしないので読みにくる人は全然いないけれど「もしかしたら誰かの目に触れるかもしれない」位の緊張感がちょうど良い。