W6 2014.2.5 - 2.11 『違う惑星の変な恋人』『夜明けのすべて』- 雪が降る

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東京は月曜日の昼から雪が降って、少し積もった。

雪が降った翌日夕方のランニング時には、至る所に雪だるまが作られていたり、まさに雪だるまを作っている最中の親子を見かけたり、ちょっとした雪合戦をしている中高生がいたり、雪をかじりながら下校する小学生がいたりしてとても良かった。

雪が降るとユニコーンの『雪が降る町』を思い出すけれど、あれは年末の曲なんだよな。

うまくタイミングを見計らって走りに出たので雪でランニングを休むことはなかった。今週は5kmを7回で35km走った。

週末は父の誕生日を祝いに帰った。昼にステーキをご馳走して、夕飯は母が用意してくれた鯛の料理をみんなで食べた。父は賀の祝いの歳だったので少し奮発したプレゼントを用意していたのだけれど、母がそれをゆうに上回るプレゼントを用意していた。自分から見ても、本当に仲の良い夫婦だ。

カタールの連覇で終わったアジアカップ、結局決勝トーナメントを全てリアルタイムで観たのだが、大会自体のレベルが上がったなと感じる。ヨルダンのようなダークホースが決勝まで勝ち上がったのは偶然ではなく、相応の準備がなされた結果だと思うし、優勝していても全くおかしくないゲーム内容だった。4年後にはさらにレベルが上がっているだろう。今大会のように日本が圧倒的な優勝候補として望む大会ではなくっているのかもしれない。

瀬尾まいこ『夜明けのすべて』

今週、公開される映画の原作を先に読んでおこうと思って手に取った。

PMSの症状がきつい女性とパニック障害を抱える男性の物語。それぞれの心情を丁寧に書き上げることで、その症状を抱えている人の困難が伝わってくる。

自分にもパニック障害を抱えている友人がいて、その友人とは家に泊めてもらったり一緒に旅行に行ったりしたこともある間柄なので、症状についてはよく聞いていたし、目の前で発作を起こしたこともあるのだけれど、自分はその辛さの質をちゃんと理解できていなかったのだなと本作を読んで分かった。

いつ起きるか分からない発作をずっと気にかけながら生活することや、体調に影響する薬を飲み続けること、外見からは理解してもらえない症状について"気持ちの問題"にされたりするつらさは、実際に症状を抱えた本人にしか分からないものなのだろう。それでも、この作品に触れることでこう考えられるようになっただけでも読んで良かった。

とても優しく温かい作品だと感じた。作者の瀬尾まいこさんが実際にパニック障害を抱えたことをきっかけに書かれた作品らしい。

映画『違う惑星の変な恋人』

少し変わったキャラクター達が「あるある」を繰り返し、4人の間で四角関係ができる漫才やコントのような作品。あまり考えず、ゆるく楽しめる作品だとは思ったけれど、今泉力哉や濱口竜介と並べて語るのはちょっと違うかなと思った。(鑑賞後にそのような評価をいくつか見かけた)

中島歩がよく演じる、すごい男前なのだけれど抜けている役というのがとても好きで、それを観るためにぐらいの感覚で観に行ったのだが、ちょっとしつこすぎた。

劇中で使われるネタも、キャプテン翼のネタを若い子に理解してもらえないとか、ロベルト・バッジョの話が響かないとか、漫才でよくドラゴンボールやスラムダンクの話を当たり前のように入れてくる寒さと同じものを感じて正直冷めた。自分には伝わるのだけれど、このキャスティングでそれやってどうするの、という目線になってしまう。

映画『夜明けのすべて』

原作は前述の通り。三宅唱監督作品。

原作では、二人の主人公の心情を丁寧に書き上げられていたのだけれど、それは文字だからできることなので、映像ではどう表現されるのかを楽しみにして観た。

ただ作品をなぞるだけでなく(そもそもなぞっていたらモノローグだらけになってしまう)映画オリジナルの設定や登場人物がうまく作られていて、かつ原作の芯の部分は壊さず、むしろ強化しているとも感じられる良作だったと思う。

プラネタリウムのナレーションで入る「この世には変わらないものなど一つもないのではないのかと思います」というようなセリフが印象に残っている。言葉自体は特に珍しいものではないけれど、このセリフが入るタイミングが本当に良かった。この物語自体も言ってしまえば、「明けない夜はない」という使い古された言葉で表せるものだとは思う。だけれど、特別ではない、どこにでもありそうな日常を丁寧に描き上げた作品に触れた上で思う「明けない夜はない」は心に沁み入る。

三宅唱監督は前作『ケイコ 目を澄ませて』では、ろう者のボクサーという他者から見ると困難を抱えていると見られる人物が主人公の作品を撮っている。『ケイコ 目を澄ませて』も本作も、引きで映した街の風景が多用されているのが印象的で、これは日常であり、作中で取り上げられていることは特別なことではなく、社会のあらゆるところにある事で、特別視する必要はないし、かといって素通りしてよいものでもない、と説いているように感じる。

ピアニカのような音が入る穏やかな劇伴がとても良かったのだけれど、サントラは出ていないようだ。劇伴はhi'spec。サントラを出すほどの量がないからなのかもしれないけれど配信してほしい。

来週

  • 『ゴースト・トロピック』か『Here』どちらか、できれば両方観たい

  • アジアカップも終わったので朝方の生活に変えていこうかと思う。海外リーグはアーカイブ視聴で

  • スコーンを焼く