これはスクラムマスター Advent Calendar 2025 20日目の記事です。
が Scrum Master’s Night!(以下、SMN)というコミュニティの運営に携わるようになって、5年が経ちました。SMNは、Open Space Technology(以下、OST)という手法で行われているコミュニティイベントです。OSTとスクラムという、いまではすっかり当たり前のように隣り合っている関係性について、お話ししたいと思います。
OpenSpaceTechnology(OST)とは

OSTは、1984年にHarrison Owenが提唱したソーシャル・テクノロジーです。最初は「Open Space」と呼ばれていましたが、後に「Technology」が付いたようです。
彼は、とある国際カンファレンスの終了後アンケートで「最も価値があったのはコーヒーブレイク」という回答が多かったことから着想しました。
OSTは、サークル(円陣)、マーケットプレイス、4つの原則、1つの法則という、最小限のルールと構造で定義されています。
細かい内容はここでは説明しませんが、このフレームワークでは「自己組織化」と「創発」をとても大切にしています。
スクラムを知っている方であれば、その言葉をスクラムガイドの中で見かけたことを思い出すかもしれませんね。
OSTはスクラムを補完できる場でありえる

OSTはもともと、カンファレンスの廊下のようなものから着想したものです。そのためOSTは「場」でもあり、「ゆとり」でもあります。一方で、軽量とはいえ設計の狙いは、「カンファレンスそのものをコーヒーブレイクにする」ことにあり、そのものが中心となる力強さも持っています。
スクラムは軽量なフレームワークですが、プロセスを重んじています。ただし、プロセスの実践は常に形骸化の危険性をはらんでいます。OSTはそこを補完してくれる存在であると私は思っています。
チームにおいて「自分がいなくてもよい」と思える場面は、ほとんどありません。ですが、いざという時にOSTの「一つの法則」--「自分がここで価値を発揮できないと思った時は、必要とされる場所に移動すれば良い」--を知っていたら、人はフォースを一つ外すことができるかもしれません。
何かに悩んでいる時や難しいことに直面した時、ちょっと廊下で誰かに話を聞いてもらうだけで、ヒントを手に入れられることもあります。
そうした補完ができるのも、OSTもスクラムも「自己組織化」と「創発」という大切な価値観を共有しているからではないでしょうか?
余談ですが、Agile AllianceではOSTのことを「OpenSpace」と呼ぶほうが一般的なようです。「Open Space」って、いい響きですよね。
日本では「Software Teaming」と同じくらい定着させるのは難しいかもしれませんが、使っていきたいなと思いました。
OSTの歴史と Scrum Master's Night の歴史
1984年に発表された「OpenSpace」は、1990年代後半にはアジャイルコミュニティで広く紹介され、2002年にシカゴで行われた「XP/Agile Universe 2002」で初めて公式に採用されました。
日本では、平鍋さんが2003年にソルトレイクで開催された「AgileDevelopmentConference2003」に参加した際に、Open Spaceの作り方などを日本に持ち帰り、オブジェクト倶楽部で実践をされていたそうです。
Scrum Master’s Nightが初めて開催されたのは、2014年2月20日のことでした。初回のマーケットプレイスを見てみると、今と変わらないようなテーマが並んでいます。参加者のブログ記事も残っていて、スクラムマスターたちがウォーターフォールの良いところを語りあう場面もあったそうです。その場で聞いてみたかったです(笑)。

そして、RSGT(Regional Scrum Gathering Tokyo)では、第4回にあたる2015年からOSTが開催されていました。最初は30人くらいしか集まらなかったようですが、今では最終日に数百名が参加する一大イベントになっています。今年も楽しみですね。
これからも
12年続いているScrum Master's Nightですが、2025年も4回ほど開催しました。ここ数回は人数が少なく、少し寂しくもありましたが、集まった方々の中ではいつも通り熱い議論が交わされ、創発の香りを感じさせてくれました。
みんながまたふらっと寄れる、アジャイル界の創発的な廊下としての「OpenSpace」を目指して、これからも続けていきたいと思います。
ご予定が合うようであれば、ぜひ遊びに来てくださいね。