伝俵屋宗達筆《蔦の細道図屏風》がめっぽう好きである。

本屏風は宗達真筆ではないが、捺された「伊年」印から宗達周辺の作と考えられ、『伊勢物語』第九段いわゆる「東下り」から構想を得たとされる。
同じく『伊勢物語』を画題とし、金箔地に緑青を用いて単一植物をモチーフに描いた屏風として尾形光琳筆《燕子花図屏風》を想起させる。光琳が宗達に私淑したのは有名な話だが、両屏風に関連性は認められていない。
左隻と右隻を入れ替えて、どこまでも続く蔦の道。相国寺承天閣美術館のショップで見つけたマスキングテープは本屏風の遊び心を存分に生かしている。
