謎のおもちゃを自作する初秋の過ごし方

kaijunohito
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公開:2025/11/24

どうも、突如として謎の自作キーホルダー写真を連投している私である。

これをお読みになっているあなたは十中八九なにかしらの私のSNSリンクから飛び込んでいらしたはずだろうから、既にご覧になっているかとは思うがまずは表題のおもちゃの完成形をご覧いただこう…

“月をつかまえる”キーホルダー

これである。

そう、“月をつかまえる”キーホルダーと“花の手鏡”だ。

……。

……いや、なんで作ったん?である。

あまりにも脈絡がなさすぎる。今まで描いた絵のグッズ化というわけでもないしそもそも普段の作風とも異なっている。幸いこの投稿がきっかけで離れてしまわれた方はいらっしゃらないようにはお見受けしているが、どうして私がこれを作ってしまったのか、かつその工程をこの機会にご説明しておきたい。

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遡ると9月の中旬、自宅にあるものが届いてしまった…

なんとも美しい色とりどりのアクリルのサンプルチップ。仕事で偶然目にする機会があり、心ときめく出立ちに一目惚れした私は後日自分のために自腹でこれらを取り寄せた…そう、これが全ての始まりだった。

当初はただ眺めているだけでよかった。美しいラメに、パールのようなマーブル模様。透明・半透明・不透明の極彩色のつやつやのかたまり。見ていて飽きないこの欠片をいつも目に入るところに置いていた私は1ヶ月後この衝動に苛まれることになる。

「自作のセボンスターを…作りたい…!」

セボンスターとは、ご存知スーパーマーケットのお菓子売り場でお馴染みプラ宝石食玩のこと。

幼い頃は本物の宝石かのようなメッキタイプにまず心を奪われたものだが、成人してから再度ハマってしまうとラメプラタイプとパールプラタイプのテクスチャのかわいさ、クオリティの高さに気づいてしまう。そしてなんと今…私が手に入れてしまったチップは机の上であのラメプラ&パールプラタイプと同じ質感で輝きを放っているのだった。

私は、私だけのオリジナルセボンスターを作るんや…!!

かくして謎の衝動を抱えたまま11月最初の3連休に突入。仕事のイラストを描くはずがなぜか自作セボンスター作りに没頭し始める。

初めは窓から見える月をイメージしていたようだ。

徐々に他のモチーフが出てくる。手袋はなんだっけ…?

この時点ではセボンスターのように2層構造でなんとかすることを考えていたが予算の都合で本体の構造を3層構造にする路線に変更。

戸棚みたいなのもいいよねーとちょっと方向が変わってくる。階段はどうやって作るつもりだったのか…

鏡にも初めは月を入れたかったらしい。

行き詰まって散歩していると昔読んだ児童書を思い出した。そうだよ、月といえば富安陽子さんの「キツネのまいもん屋」じゃないか!

読書感想文の課題図書にもなっていたはずだから同年代の方はご存知かもしれない。あらすじをお話しするのさえ勿体ないくらいワクワクドキドキの名作であるが、まいもん屋(駄菓子屋)のくじ引きで当たりを引いた主人公が店主のキツネから一等賞の景品でお月様をもらうストーリー。その、お月様をゲットした主人公は瞬間こう叫ぶのだ。

「お月さん、もろた!お月さん、もろた!」

そうや、お月さん…私もほしいわ!!好きな話を思い出してキーホルダーのテーマを「お月さんをつかまえる」にする。

“つかまえる”といえばロープ?網?ちょっと猟奇的すぎるかも…と思い、輪投げを思いつく。つかまえたお月さんを標本みたいに並べるのもいいかも。

枠線はドア型よりもっと有機的な形にしたくて、「はろるどのふしぎなぼうけん」の額縁みたいな形状に。あれも月の絵描くよね…!

というわけでこういう絵柄に。この時点で3連休のうち2日目まるまる終了である。いつまでも持っていると3日目に突入してイラストが描けなくなってしまうからこのへんで入稿。

そして2週間後…

届いた!!ひゃっほう

側面が美しい〜〜

左から蓄光する素材、不透明素材、パール素材。

(このへんの素材を全て変えたことで原価が跳ね上がっている。どのくらいか…というと展示の際にギャラリーなどで販売すると原価割れするくらいの値段である。そして入稿する段になって気づいたが蓄光素材が一番高い。ちょっとオンラインショップで売るのが限界。いつか展示で売りはじめたら、こいつ赤字覚悟で売ってるなと察してほしい…)

でもやっぱ光るの最高〜〜!!

以上がことの顛末である。いつの間にか作っていたものがセボンスターとはかけ離れているが、これはこれで愛おしい…

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さて、余談だがこのキーホルダーは3層構造になっており、スライド式で開閉する。

つまり、好きなものを追加で入れられる。順番も入れ替え可能なのだ!

このキーホルダーのコンセプトは「お月さんをつかまえる」であるから、あなたの好きな月の写真を入れるもよし。新聞の月齢コーナーを切り抜くもよし。好きな「月」の文字を入れるなんてのもありだ。

試しに、ヴァロットンの月の絵を切り抜いて入れてみるのはどうだろうか…

よ、良すぎ〜〜

それにこのキーホルダーは窓枠みたいなイメージだから、もはやこんなのでも良さそう。

ぐぁ…!ヴァロットン先生…最高です!!

窓感もすごい!!!

あまりにも大先生の力を借りすぎているから、やっぱ1つくらいパーツ入れるか…

光らせたくなった。

ひょえ〜〜!たのし〜〜!!

そんなわけで、このキーホルダーはこちらのオンラインショップで販売中だ。ぜひチェックしてみてほしい。

皆さんも一緒におもちゃで遊ぼう!わーい!

@kaijunohito
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