知らない伴侶

kaisla
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結婚したが、以来一度も時空を共にしていない。もちろん同衾もしていない。相手の顔は知っている。お互い、「まだ逢えないねえ」と言いあっている。

一方で、兄が両踝を骨折して大手術したそうだ。ボルトの入った両足で訪ねてきて、お前たちはどうなっているのか。相談に乗ってやる、と言ってきた。相談もなにも、あなたの足をどうするつもりか、と逆に問うた。

想い人からの続報を待っていた。あの舞台には出演できたのかしら。現地の、見ず知らずの人々からの断片的な情報が流れてくる。紙の面をつけたスタッフが代役に立ったようだ。 カラフルなエスカレーターから、文句を言いあう人々が下りてくる。 到達したい核心には、だれもいないゲームセンターに阻まれて到達できない。コインおとしが、むなしい動きを繰り返している。

@kaisla
砂漠の井戸を管理する魔女、になりたい一般人。 かや児とか圓子とかの外部メモリ。