じゃりじゃりの落雁と思ったのは砕けた瑠璃色の水滴で、それは、番が見つかったら揃いの硯を進呈しようと約束したあのこのものだった。てのひらにぴったりと収まった姿を覚えている。肩から胴へ、滑らかにうつりかわる濃淡が好ましかったのに。じゃりじゃりになってしまっては、硯はみつからない。瑠璃色の裏にも山吹の地に黒の星を散らしたような釉薬がかけられていた。砕けなければわからなかったことだ。
あちらの橋の上に、大きな大きな岩を運ぶ特殊車両。どうも嫌な予感がする。背景に鈍色の重い雲垂れこめて禍々しい。あ。巨岩運搬失敗。拘束を解かれたGIGANTはこちらへ。バーベキュー中の家族が踏みつぶされた。