あのこは寮のルームメイト 言ってみればそれだけの関係なんだけど、あのこがいるときのわたし、たのしいきもち
今日は、なにか重大な決定がくだされるかもしれないって、あのこは朝からそわそわして出掛けていった わたしはベッドにもぐりこんで(二段の下がわたしの陣地)雑誌を眺めて音楽を聴いてときどきうとうとして、怠惰を満喫する一日 何度目かに目覚めたとき、窓からは薄暮れの青色が流れ込んでいた 寝ぼけ眼でスマートフォンの表示する文字を撫でると、その日は、婚姻の意味が拡がる歴史的な一日に生まれ変わっていた
ぼんやりとあのこの顔を思い浮かべる そうしたら、テレパシーみたいにあのこが帰ってきた もうあと一瞬で泣き崩れそうなあのこに向かって、両腕を大きく広げてさしのべる あのこがわたしの腕のなかに飛び込んでくる
小さくなって震える大きなあのこを、わたしは、いつまでも抱いていたいと思った 二人を俯瞰する私は、おかしなバランスねえと笑っていた